■「支援臭しかしない」当事者が語る行政・支援への強い拒絶感
トー横に通う若者たちの間では、行政やNPOなどの支援組織に対する強い拒絶感が根強く存在する。トー横歴約3年の20歳男性・急アルゆーたぐさんは、東京都が歌舞伎町に設置した相談施設「きみまも」での実体験を踏まえ、次のように心情を明かした。
「支援臭しかしない。1カ月ほど前に地方から出てきた友だちを連れて行った際、腕の傷を見られて開口一番『どうしたの?悩んでるの?話、聞くよ』と踏み込まれたので、『お前に何が分かられるのか』と感じた。行政側は支援臭をなくそうとしていると言うが、こちらとしては支援臭しかしない。悩みを聞かれてもどうせ無駄だと思ってしまう」。
急アルゆーたぐさんは、大人からの過剰な介入に対して疑問を呈し、「基本的には干渉せずに放っておいてほしい。ただ、自分から『どうやって稼げばいいか』『どうすれば幸せになれるか』と助けを求めてきた時には、その方法を教えてほしい」と述べ、当事者主体の関わり方を求めた。
若者側から「支援臭」と警戒される行政施設だが、その存在意義を評価する見方もある。歌舞伎町の現場を取材するライターのツマミ具依氏は、当事者の不満に理解を示しつつも、公的施設の一定の役割を主張した。
「きみまもについての批判も分かるが、役割として歌舞伎町の危険なコミュニティから若者を遠ざけたという意味で非常に大きな功績があった。これまではシネシティ広場に集まるしかなかったが(夏は)涼しく、(冬は)暖かい場所に移動することで、いたずらに人が増えるのを防ぎ、『悪い大人』と言われるコミュニティから距離を置くことができた。今後も必要な場所だ」。
一方で、税金を投入して運営される行政施設としての立ち位置の難しさについても議論が及んだ。トー横歴約5年の25歳男性・うにさんは、「東京都や新宿区が億単位の公金を投じている以上、施設内でオーバードーズを目的とした薬の売買や違法薬物の斡旋、売春などが行われれば運営できなくなる。行政が運営する以上、一定の厳しさやルールが必要になるのは当然だ」と指摘した。
また、衆議院議員で子どもを支援するNPO法人などでも活動した大空幸星氏は「行政は税金を使う以上、問題を解決して社会的に自立させるといった『プラスの変化』を求められる。しかし、トー横に必要なのは『死ななければいい』という『ゼロの支援』だ。行政にはそれが難しいため、行政とトー横の中間に立つ民間NPOなどを公的に支援していく仕組みが必要だ」と構造的な課題を語った。
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