■悪意ある「黒」の存在と支援者を装う大人への不信感
歌舞伎町のトー横周辺には、居場所を失った若者たちの孤独や困窮につけ込み、売春や違法薬物の売買、さらには海外での特殊詐欺の「かけ子」などに誘い出す悪質な大人たちが存在する。一方で、若者を救済・保護する立場にあるはずの支援者側にも問題が生じており、当事者である若者たちの大人不信を深める要因となっている。
NPO法人での活動歴もある衆議院議員の大空幸星氏は、トー横内部で起きている大人に対する警戒感の背景について次のように解説した。
「支援者を名乗りながら犯罪行為をしていた事例があった。そのあたりから『支援者を名乗る』ということ自体が非常に難しくなった。自分が『安全な大人だよ』と言えば言うほど、当事者からは怪しまれてしまうという現象が、トー横の中で起きてしまっている」。
悪意を持つ大人が若者を利用するだけでなく、善意の支援者を装った犯罪事例が相次いだことで、若者たちの警戒心が強まり、正しい支援の手すら届きにくくなる構造的な難しさが浮き彫りとなっている。
若者たちが大人全体への不信感を強める中、完全な善意や正論を掲げてアプローチする「真っ白な支援者」で、信頼を得ることができるのだろうか。
大空氏は、支援者が現場に介在する際のスタンスについて、当事者と同じ空間に違和感なく溶け込める「グレーな存在」として緩やかに関わっていく姿勢が求められていると話す。
「支援者自身も真っ白な存在ではない。いきなり真っ白い人が現場に入っていくのは難しい。だからこそ、東京都の相談施設『きみまも』も含めて、自分たちをグレーな存在にしていきたいと思っている。真っ白な存在としてではなく、現場の雰囲気に溶け込んでいくような存在を少しずつ増やしていきたい」。
■「悪い大人を排除するのではなく濃度を下げる」現実的アプローチ
