■「ちゃんと病気なんだよ」専門医が語る社交不安症の本質
“社交不安症”当事者のらっこさんは、中学生の頃から人とのコミュニケーションに悩み始め、長らく「極度の人見知りで、克服しないといけない性格なのかな」と思い続けてきたという。学校などでみんなの前で発表しなければならない場面が特につらく、「胸がドキドキしたり、逃げたいような気持ちになったりした」と振り返る。見ている人を人間だと思わないようにする、という対処をとることもあったという。
千葉大学教授で精神科医の清水栄司氏は、社交不安症の位置づけについて「不安の病気、精神疾患、心の病気であり、精神科医が診断するもの」と説明した。これを受け小松靖アナは、一般的に使われる「コミュ障」とは異なり、専門医に診てもらう必要がある疾患だと整理し、清水氏も同意した。
また、いわゆる“コミュ障”との違いについては、「コミュニケーション能力自体は問題ないが、コミュニケーションすることへの不安という感情の問題。この不安という感情をどうコントロールするかというところで悪循環にはまってしまう」と説明。いわゆる普通の人見知りや「上がってしまう」感覚との境界線については、「たまにこういった(特定の)場面で不安になるというのは誰でもある。でも、毎日のちょっとした雑談でさえ苦しい、つらいというのが半年以上続いて、学校に行きたくない、実際に行けなくなって不登校になるとか、会社員でも引きこもってしまうというレベルが社交不安症の症状」と語った。
なぜそこまで人の目や評価が怖くなってしまうのか。清水氏は人間の本能にその根拠を求める。「相手に嫌われてしまうんじゃないか、否定的に評価されるというのがすごく怖い。人間は群れを作る動物なので、そこから弾き出されること、古く言えば“村八分”、今でいう“ハブられる”ことが、社会的な死として本能的に感じられてしまう。だからこそ、他の人から『あいつダメだ、変なやつだ』と思われることがすごく怖いという考えが浮かんでしまう。そこが病気の本質だ」と述べた。
社交不安症の発症につながる要因について、清水氏は「人前で何か失敗して笑われたとか、からかわれた、いじめられたといった、ちょっとしたトラウマ体験が非常に大きな心の傷になることがある。心の骨折のような状態になって、そこからうまくリハビリできる方もいるのですが、複雑骨折のような難しい状態で、しかもリハビリの方法が上手くない場合もある。頑張れば頑張るほど悪い方向に行ってしまうような練習の仕方もあったりするので、専門家から『こうやって練習していくとうまくいくんだよ』というのを学んでほしい」と語った。
■「自分のせいじゃないかと責める方向へ」周囲の理解の難しさ
