その激闘の最中、予選決勝の舞台に深く刻まれる名場面が生まれる。錦織が熟練の絶妙な配球を見せ、20歳の俊英・坂本をコートを前後に激しく翻弄。必死にボールへ食らいつく坂本に対し、錦織が最後に見せたのは、ふわりと高く浮かせた技ありの返球だった。必死にジャンプして手を伸ばした坂本のラケットはこれにわずかに届かず、錦織が鮮やかにポイントを奪い取った。
固唾を飲んで壮絶なラリーを見守っていたほぼ満席の観客からは、ベテランの華麗な妙技に大きなどよめきが沸き起こった。そして、限界ギリギリの激しい打ち合いを制した錦織は、自身のプレーを噛み締めるように思わず力強いガッツポーズを披露。熱気あふれるニューヨークのファンを大いに魅了した瞬間だった。
試合こそ第1セットを逆転で落とし、第2セットもタイブレークの末に競り負ける結果となった。しかし、若き才能に全身全霊で立ち向かい、鮮やかなショットと気迫で会場をどよめかせた錦織の姿は、観客の目に深く焼き付いたに違いない。四大大会最後のコートで見せたその闘志とガッツポーズは、次世代への確かなバトンとして坂本に受け継がれていく。
(ABEMA/WOWSPO/全米オープンテニス)

