■専門家が指摘する「インクルーシブ教育」の可能性
こうした中、議論では「インクルーシブ教育」にも焦点が当たった。障害などの有無にかかわらず、子どもたちが可能な限り同じ場で共に学ぶことを目指す考え方だ。
インクルーシブ教育を研究する学習院大学教授の小国喜弘氏は、遠藤さんが話した「温かいクラスを作れる先生ならどんな子がいても大丈夫」という考えと、トクシマさんの「幼稚園で一緒だった友達と一緒に通いたい」という思いを踏まえ、「この2つを合わせると、普通学級でみんなが暮らせるようなことができれば問題がない」と語った。
また、2022年に国連が日本政府に対し、分離を永続化する教育をやめるよう勧告したことに触れ、「地域で友達と一緒に学ぶことは人権であり、公教育が保障すべきものだ。日本はあらかじめ分けた上で、一部の時間を一緒にするという逆転した形になっている。結果として“お客様扱い”される子が出てきたり、差別構造の中でバカにされてしまう現状が生じている」と指摘した。
欧米の大規模調査では、インクルーシブな環境の方が障害児とされる子どもの学力が上がり、他の子どもも下がらず、むしろ上がる傾向があるという。「助けたり助けられたりが当たり前の環境になる。友だちに『今の授業分からなかった』と聞けるようになる」と説明した。
一方、遠藤さんは実現の難しさも指摘する。本来、特別支援は専門性の高い仕事である一方、自身のような講師が「穴埋め要員」として配置されたり、普通学級でうまくいかなかった教員が特別支援に回されたりするケースもあると説明。「それをできるだけのリソースや制度が、ちゃんと揃っているかどうかの話だ」と述べた。
トクシマさんは「学籍は一緒で、授業ごと・活動ごとに柔軟な形が取れればいい。ただ、日本の学級規模は先進国でも最大級に大きい。規模自体も減らさないと、先生も子どもも負担が変わらない」と語った。
小国氏は最後に、「一緒に学ぶことを基本にした上で、一部の時間を特別な訓練にあてる形へと転換していく必要がある」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
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