■外国語習得の理論と部分的に合致する「Mazelingo」
早稲田大学の尾島司郎教授は、Mazelingoの最初の印象について「『面白いことを考える人がいるな』と。もちろん生成AIが出現したからこういうアイデアがすぐ実現できることになったと思う」と語る。
英語の文章の一部の単語を日本語に置き換える学習法は以前から存在していたが、文章ごと英語に入れ替える点がMazelingoの新しいところだという。一方で、尾島氏は「新しいものなので、第三者が検証して効果があるかというのを確かめない限り、私からも『効果ありますよ』『ありませんよ』とは言いづらい」と慎重な姿勢も見せる。
しかし、外国語習得の理論と重なる部分もいくつかあるという。その一つが「理解可能な入力」だ。尾島氏は「(単語や表現は)分からないんだけど全体のメッセージとしては伝わるという、そのような入力がいいと言われている。『分からないけど分かる』みたいな。Mazelingoの場合は前後の文脈を日本語で与えているから、英語の中に分からない単語があっても、全体のメッセージとしては分かるみたいな状況を作っている」と解説する。
さらに、自分が興味のある文章を選べることも学習効果を高めるポイントとなる。「これを『夢中になれる入力』や『夢中になる入力』みたいな言い方をするが、そういうものの方が学習効果が高いと言われている。自分が好きなものの方が(入れ込み方が)全然違ってくる」(尾島氏)
また、日本語で補助することにも学習上の意味があるという。「これは『母語による足場架け』とよく言われるが、学習者は『足場』という支えになるものを必要としていて、それが『母語』だということ。『足場があって初めて分かる』みたいな。それをやっているうちに足場がなくても分かるようになる。その時に母語は役に立つ」と述べた。
加えて、わからない英文をその場で日本語に切り替えられる機能についても、外国語教育の研究にある考え方が取り入れられているという。「学習者が自分で『ここ分からないな』という時に、注釈をすぐに出すという手法も研究されている。Mazelingo全体が理論にサポートされているわけではないが、部分的にいろいろな習得の理論や研究と関係しているところはある」と、その理論的な整合性を説明した。
英語習得に重要な「引き出す力」と対人コミュニケーション
