■賠償請求には「かなり高いハードル」
国際環境法を専門とする立命館大学の西村智朗教授は、ICJの勧告的意見の意義を認めつつも、実際に損害賠償を追求することの難しさを指摘する。「最も大きなハードルは、責任の配分だ。気候変動は過去200年以上にわたる温室効果ガスの累積によって生じている。中国・アメリカ・インドだけでなく、日本やヨーロッパ、ロシアもかなりの量を排出してきた。どの国にどれだけ責任を取らせるのかを整理しなければいけない」と述べた。
加えて、個別の災害について「ネパールの氷河崩落が中国やアメリカの排出した温室効果ガスによるものだということを、裁判官が納得できる形で立証しないといけない。これはかなりハードルが高い」と分析する。また、国家間の紛争解決には被害国と加害国の合意が必要であり、「現時点でネパールの主張を受理できる国際裁判所は見当たらない」とも指摘した。
リディラバ代表の安部敏樹氏も「因果関係の証明が非常に難しい」と同調しつつ、「“カーボンクレジット”や“排出権取引”など、排出削減を促す予防的な仕組みは少しずつ一般化してきているが、起きてしまったことへの法的措置という論点はかなり置いてきぼりになっている」と見解を述べた。
■日本で初めて「国」を訴えた気候変動訴訟
