■日本で初めて「国」を訴えた気候変動訴訟
一方、日本国内では“気候正義訴訟”の弁護団を率いる島昭宏弁護士が、国の気候変動対策が不十分だとして、国に損害賠償を求める国家賠償請求訴訟を手がけている。国に対して気候変動対策の法的責任を問う訴訟は、日本で初めてだという。国内ではこれまで、個別の石炭火力発電所をめぐる訴訟などが提起されており、今回が国内6件目の気候変動訴訟として整理されている。
島弁護士は「国の気候変動対策が不十分なため、すでに国民の人権が侵害されている」と主張する。熱中症による救急搬送者や死者数の増加は生命・健康に関わる権利の侵害に、猛暑で第一次産業や屋外労働の仕事が予定通り進まないことは営業権の侵害にあたると説明。また、エアコンを24時間稼働させるための費用など、暑さによって生じる経済的負担は財産権の侵害、子どもたちが外で遊べない、プールにも入れない状況を成長発達権の侵害だと訴えた。
原告は二次提訴の時点で900人に達しているが、一人あたりの損害賠償請求額は1000円にとどまる。「お金が目的ではない。国がやっていることが違法だ、権利侵害だという裁判所の判断を引き出し、それによって国の背中を押すことがこの裁判の目的だ」と島弁護士は言う。
具体的には、政府の削減計画がIPCCやパリ協定の水準に達していないこと、CO2排出基準を定めた法律が存在しないことの2点を違法性の柱として争っている。「違法性が認められれば、行政計画が変わり、国会が法律を作るということにつながっていく」と島弁護士は説明した。
■「個人の節電より、国の政策を変えること」日本人の意識の低さも課題
