■非正規拡大は国の責任か?
氷河期世代の苦境に対し、ネット上などでは「自己責任ではないか」との声も上がる。これに対し、経済学者の島澤諭氏は「当時の自己責任という言葉は非常に厳しい。就職活動は椅子取りゲームだが、そもそも椅子の総数が足りない中で過酷な競争を強いられてきた。そこを無視して自己責任と片付けるのは厳しい」と反論した。
また、当時の小泉政権で規制改革の中心にいた竹中平蔵氏は、「国が非正規雇用を推進した事実はない」と明確に否定。その上で、日本の厳しい解雇規制を要因として挙げ、「1979年の東京高裁の判例があり、日本の企業は業績が悪くなってもリストラができない。正社員は固定費になるため、バブル崩壊で売上が変動する中、企業は判例に縛られない人たちを雇わざるを得なかった。それが非正規だ」と構造的な問題を指摘した。
これに対して、東京大学大学院准教授の斎藤幸平氏は企業の姿勢を問題視し、「企業はこの間、労働者に払う賃金を減らし、浮いたお金で研究開発や設備投資をせずに、内部留保を溜め込んできた。それが日本の長期停滞を長引かせた原因であり、企業側に責任がある」と追及した。
竹中氏は企業の責任を認めつつも、「外資系企業や中小企業は平気でリストラをしているが、純粋な大企業は訴訟リスクを恐れてリストラしない。企業がちゃんとした行動をとらなかった側面もあるが、法律を変えてくれないとできないという両方が重なっている」との見方を示した。
■「普通に生活したい」当事者の悲痛な叫びと労働市場改革の壁
