■空き家放置に潜むコストと行政代執行の現実
実家を空き家のまま放置した場合のリスクは大きく2つある。1つ目は、所有しているだけでかかり続ける費用と管理の負担だ。実家の相続に詳しい不動産コンサルタントの高橋大樹氏は、「固定資産税は空き家でも持っていれば毎年かかってくる。火災保険などもかけていれば保険料もかかってくる。マンションの場合は管理費・修繕積立金、これも毎月のコストがかかる」と説明。
さらにやっかいなのが、「戸建ての場合だとよくあるのが、庭に植えている草木が特に夏場はすごく伸びてくるので、近隣住民から役所などにクレームが入り、役所から通知が来て『草木を伐採してください』という話になる。自身が行けなくて業者を手配すればお金もかかるし、遠方であればそこに行くまでに交通費や時間がかかる」。
そして2つ目は、周囲を巻き込むリスクだ。高橋氏は「最近災害も多いので、台風や地震などによって空き家が壊れて、その壊れたものによって誰かをケガさせたり、隣の家を壊してしまったり、そうすると損害賠償責任が出てくる。あとは放火や火災のリスクも出てくる」と警告する。
さらに、空き家の実家を放置し続けると、最悪の場合、行政によって強制的に取り壊される可能性もあるという。「空き家を放置していると、行政から『空き家をちゃんと管理してください』という通知が届いたりする。ちゃんと管理されていない場合、状況によっては『空き家を解体してほしい』という通知が来るケースもある。解体命令が出た場合、当然解体しなくてはいけない。そうすると“解体費”というコストはかなりかかると思う。自身で解体しない場合、強制執行で行政が解体をして、その費用が請求される可能性もある」(高橋氏)
そもそも空き家を放置し続け、行政から、管理されておらず放置すると倒壊などの恐れがある「管理不全空き家」や、既に倒壊などの恐れがある「特定空き家」として「勧告」を受けると、更地よりも税金を安く抑えられていた固定資産税の優遇措置(課税標準が6分の1に)が適用されなくなり、固定資産税が実質的に6倍に跳ね上がってしまう場合もあるというが…。
この制度について三輪氏は「建物をちゃんと管理してもらうための制度だが、管理するコストについては手当てがない。仮に自分で買ったわけではない相続した物件だと管理するモチベーションも高くない。解体費用もかかる中、今の制度だけでどうにかなるのか、もっと対策が必要では」と、親戚間の分割などで意図せず引き継いだ物件に対して、自主的にお金をかけて維持することの難しさを語った。
行政からの度重なる空き家の管理依頼を無視しつづけると、待っているのは“強制解体”だ。2016年には、東京都葛飾区で行政代執行による解体工事が行われた。建物がひどく傷み、家財道具や自転車などが放置された物件の解体にかかった費用は185万円で、当時70代の所有者に請求され、ほぼ1年後に支払われたという。
これに三輪氏は「10年前で、それほど大きくない物件でも180万円超かかっている。解体費用も今はすごく高騰しているので、今だともっとかかってしまうと思う」と、今はもっと費用がかかる恐れを指摘する。
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