■2年半で1000件のオファー…ジム買収の成功と薬局買収の失敗
実際に個人でM&Aを行い、成功と失敗をそれぞれ経験した当事者たちが実情を明かした。
会社員時代にキックボクシングジムを買収した増岡剛さんは、議員秘書時代に後継者不足で廃業する企業を目の当たりにしたことがきっかけだった。「会社員で買うことができるのであれば、抱えていた寂しさのようなものを自分も解決できるのではないかと考えた」と動機を語る。
増岡さんは2年半の間に1000件以上のM&A案件にオファーを送り、実際に店舗周辺で張り込み調査を行うなど独自のデューデリジェンス(価値・リスク調査)を実施。「資料の正確性や、言っていることがどこまで本当なのかという疑念は常に持ちながら張り込んだ。自分の目で見たものしか信じられないと思っているし、最後リスクを取るのは自分だからだ」と振り返る。
300万円で買収したジムを起点に事業を拡大し、現在は4店舗を経営しており、「わざわざゼロから作る必要がない。初期投資がかかるところを、譲渡代金だけお支払いして、その瞬間から利益が立っていくのはかなりメリットだ」と起業ではなくM&Aを選んだ意義を強調した。
一方、薬剤師の山田さんは、知人から紹介された関西の調剤薬局を約2000万円で購入したものの、半年で廃業寸前に追い込まれ多額の損失を出した失敗談を語った。
「20代のうちに経営したいという思いから、働きながら2年間ほど探していた。年商約1億円のお店を約2000万円で購入した」という山田さんだったが、買収後、売り上げに直結する近隣病院の主要ドクターがすでに退職していたことが発覚。「そのような裏もあるのかと後から聞いた。一言で言えば焦ってしまった。増岡さんのように現場を自分の目でしっかり見ていれば、またちゃんと数字を見ていれば失敗はなかった。リサーチ不足だった」と悔やんだ。
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