■「僕らかも推薦したい」採用への影響をちらつかせる巧妙な手口
東京都のハラスメント防止対策「インターンシップ先企業の社員から個人的な誘いがあったときは」の動画では、就活セクハラの具体的な事例が挙げられている。まずはインターンでの事例だ。
就活生「お疲れ様です。お世話になりました」
就活担当者「ねえ、インターンのお疲れ様会しよう。何か好きなものとか飲みたいお酒ある?2人で席を予約しとくけど」
就活生「(え?2人?)ありがとうございます。とてもありがたいのですが、実は来週からゼミの合宿があって飲み会の参加が厳しくて。ごめんなさい」
就活担当者「どうしても無理?」
就活生「えっと…」
就活担当者「もう会えないのに寂しいな。ちょっとならいい?」
就活生「えっと…」
また、「STOP!就活ハラスメント」の動画では、企業/OBOG訪問等での事例が紹介されている。
就活担当者「ところで本田さんって彼氏はいるの?」
就活担当者「だってせっかく可愛い子が入社しても彼氏がいたらすぐに結婚して産休に入っちゃうかもしれないし、そしたらつまんないじゃない。あれ?まだ心開いてない感じ?じゃあさ、この後2人で食事でも行かない?嫌だな、そんな警戒しないでよ。最終面接では人柄も重視されるからさ。僕からも推薦したいし」
就活生「………(もしかしてこれが就活セクハラ?)」
実際、厚生労働省の調査では、就活生の約3割が何らかのセクハラ被害を経験していることが明らかになっている。
このような実態について、浜田氏は「2018年に『Business Insider(ビジネスインサイダー)』というメディアで『就活セクハラ』という言葉を作り、キャンペーンを展開した。そしてその当時、まさにこういった現場を目撃した。喫茶店で子どもの塾が終わるのを待っている時に、スーツを着た就活生に対して社員らしき人物が『彼氏はいるの?』と尋ねる会話を耳にし、耳を疑った」という。
これを機に、同メディアの記者たちと取材を進め、記事を公開した。すると、1年間でトータル約3000通も体験談や意見が寄せられた。浜田氏らは企業への対策の訴えや、国会で議員らと勉強会を開くなどしてルール作りを働きかけた。
ビジネスインサイダーに寄せられた経験談には「OB訪問でエントリーシートが通ったら合コン。選考に通ったらカラダと言われた」「交際を迫るLINEメッセージが来る。毎週夜の飲み会に呼び出される」「面接で彼女いない歴=年齢であることを告白させられた」といった内容があった。
さらに浜田氏は、最も深刻なケースを挙げる。「OB訪問の際に『自宅に資料があるから来てほしい』と呼び出され、そのままレイプされるという本当にひどい事件もあった。それを刑事告発するのかというと、行きたい会社の社員からの被害だったため、泣き寝入りすることに。そうした就活生が非常に多かった」。
企業内であれば相談窓口などで対応できるが、当時は就活生を守るルールがなく、圧倒的な力関係の差が被害を深刻化させていたという。
また、こうした被害拡大の背景として、「(かつては)OBOG訪問をする際は、自分の大学の先輩に行くことが多く、大学の就職課を通して連絡先を入手するのが通常だった。しかしその時はLINEを使ったプラットフォームなどがいくつかできていた。他大学の先輩にも気軽に会えるというマッチングアプリのようなものだった。そこで大学や会社を通さず、個人的にLINEなどで簡単に繋がれる仕組みができたことがトラブルの元になった」と指摘した。
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