■「やむを得ず求めているだけだ」死刑制度の是非
遺族の中には「法務大臣が執行しないなら自分で執行のボタンを押したい」という声や、「死刑執行の現場を見せてくれ」と希望する人もいるという。ただし「執行を公開してリンチにするような形でやってくれという人は、私の経験では聞いたことがない」と話した。
弁護士の藤原規眞氏も公開には反対の立場で、「死刑制度の前提は『命が尊いからこそ、他者の命を奪った者が自らの命で償う』ということ。命を落とす瞬間を大衆の前で晒すのは、生命に対する冒涜(ぼうとく)であり、死刑制度そのものの根幹を否定する自己矛盾だ」と語る。
死刑制度そのものについて、高橋氏は存置の立場だ。「被害者遺族だって、本当は死刑制度がない、凶悪犯罪がない社会が一番いい。でも、やむを得ず死刑を求めているだけだ」と前置きした上で、名古屋で娘を強姦され殺された母親の事例を紹介。
「毎日3人の加害者の顔が頭に浮かぶというが、1人の死刑が執行されると、翌朝からその男の顔だけは出なくなった。事件に区切りをつけて前を向いて歩けるようになる。これがまさに死刑を執行してもらうことだ」と語る。
藤原氏も存置の立場で、「死刑が好ましい制度だと思っているわけでは当然ない。ただ弁護の現場で、どうにも更生は望めない人間と相対することがある。自分のやったことの理解が全くない、理解しようとする努力も見られない人が残念ながらいる。今、日本で死刑を廃止すると声高に言うことは、現場の人間としてできない」と話した。
■罪に見合う「償い」とは何か
