各地で発生する飛び降りの“巻き込み事件”は過失か、それとも未必の故意による殺人か 弁護士の見解 ポイントは“死亡リスクを認識・認容していたか”

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■未必の故意か、重過失か 立証の高い壁

名古屋・飛び降り巻き添え死亡事件
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 重過失致死と殺人罪の間には、刑罰の重さに大きな差がある。殺人罪であれば死刑・無期または5年以上の拘禁刑、重過失致死であれば5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となる。今回の事件で殺人罪が成立するかどうかを判断する重要なポイントが、「未必の故意」の有無だ。

 元検事で弁護士の西山晴基氏は、「未必の故意とは、確定的に死亡させる認識=殺意まではなくても、人を死亡させる危険性があることを認識しながら、あえてそれでも構わないと思って行為に及ぶことを指す」と説明する。今回の事案について西山氏は、「飛び降りた方が、人に衝突して死亡させてしまう可能性を認識していたかどうか、という立証のハードルが問題となっている」と述べる。

 過去に参考となる事案として西山氏が挙げたのは、マンションの高層階から自転車を落として通行人にぶつけた事件だ。検察側は傷害として起訴したが、最終的に裁判では故意が認められず、重過失傷害罪で有罪となった。その事案では人通りが1分間に1人にも満たなかったという事情があったとされる。

 稲葉健二さんは娘・朋来さんが亡くなった現場に何日も足を運び、同じ時間帯の人通りを実測した。1時間45分の間に約300人が往来していたことを確認し、「これだけ人通りが多いということは以前から認識していたはずで、こういうところから飛ぶ危険性は分かっていたはずだ」と主張する。さらに稲葉さんは男性のもとへ3回接見に行き、「下に人がいようがいまいが、当たって死のうが死なまいが、知ったことじゃないという気持ちで飛んだのか」と直接尋ねた。男性は「はい、そうです」と答えたという。

 西山氏はこの点について、「被疑者本人の認める発言は重要な証拠の一つ。接見の記録は警察に残っている。人通りの多さも当たる可能性を高める事情になる。今回の事案については丁寧に捜査を行えば、殺意の立証が難しいとはいえ、可能性はあるのではないか」と述べる。

■「傷害致死で送検すべきだった」法の狭間という問題
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