■「中小企業の生産性」と「生活満足度」の複雑な関係
佐々木氏は、「大規模化していくのは確かに正しい方向だが、大企業中心の経済になってしまうと、アメリカや韓国のようにものすごく格差化が進んでしまう。日本はそこまでは格差化が進んでおらず、世論調査でも日本人の7割は今の生活に満足している。生産性の低い中小企業に人材がばらついていることが、結果的にそこそこで満足できる人が増えているというメリットもあるのではないか」と、中小企業の存在が生活満足度の維持につながっている可能性を指摘した。
飯田氏も、「メディアでは中小企業の生産性が低いと語られているが、日本の中小企業の生産性はそんなに目立って低くない。中小企業は大規模な設備を使わないため、生産額を人数で割ると低く見えるだけだ。機械の部分を調整すると、大企業と中小企業の全要素生産性の差は15%から20%で、働く人たちの能力などの差から見ると特別に低いわけではない」と解説する。
一方で、名古屋商科大学大学院教授の大槻那奈氏は、「中小零細のところでグロース(成長)がない。ユニコーンのような勢いがある企業が日本だとなかなか育たない」と課題を指摘。夏野氏も、「IT業界から見ていると、中小企業は先行投資を技術にする余裕がない。特にAIなどが出てくると、ある程度のスケールがある企業でないと入れられない。労働力不足の問題も同時に来ているため、なんとかして一定のスケールを持たせていかないといけない」と明かした。
議論の終盤、飯田氏は高市政権の政策の時間軸について言及した。「高市内閣はかなり産業政策推しであり、新しい産業を立ち上げるなど、1年や2年では絶対に結果が出ない。その意味ではかなり長い時間軸の政策なんだということが、少し意識されていないのは確かかもしれない」と指摘した。さらに、「政府が共有資産の部分にお金を入れていくこと、そしてもう一つは税制でインセンティブをつけていくこと」を求め、「この会社を勝たせるというのではなく、勝っている会社が得をするシステムを作ること」と主張していた。
(『ABEMA Prime』より)

