■意思決定が進む私立と制度に縛られる公立の格差
番組内では、公立高校と私立高校の構造的な違いにも議論が及んだ。岩本氏は、「私立高校は生徒の多い都市部に集中しているが、公立高校は全国あまねく教育を受けられるよう地方にもある。また、工業や水産、農業などの専門高校は設備に多額のコストがかかり、教育ビジネス的に見ると経営効率が悪い。そうした分野を公立が担ってきたという歴史的な違いがある」と説明した。
その上で、公立高校が私立高校と生徒獲得競争を行う難しさについて、「公立高校の改革の難しさは、予算や権限、人事権を各学校が持っていないことにある。教員も定期的に異動するため、学校単位だけで私立と同じように競争しろというのは結構難しい」と語った。
プロデューサーの若新雄純氏もこの見方に同調し、「私立高校には時代に合わせて入試改革や新しいコースの設置を意思決定できる経営者がいるが、都道府県立の公立高校はすべて県などで決まるため時間がかかる。私立高校の改革スピードに公立が追いつくのは難しい。私立の無償化にばかりお金を使ってしまったら、本来底上げしなければならない地方の公立高校などに回すお金がなくなってしまう気がする」と苦言を呈した。
高校無償化の目的そのものについても意見が交わされた。EXIT・兼近大樹は、「高校は義務教育ではないのに、税金を投入してみんなで進学しましょうという空気感になっていることがおかしい。何のために投資して、どういう人材を育てるのかという根本的な目的がわからなくなっている」と疑問を投げかけた。
シナモンAI代表取締役社長・平野未来氏は、「社会環境が大きく変化する中、自分で考える力やサバイバルスキルを身につけてほしい。せっかく私立が無償化して予算が潤沢になるなら、より独自色を出して魅力ある学校にしてほしいし、公立高校も独自の魅力をどんどん出していけるような競争環境になればいい」と主張した。
今後の公立高校の生き残り策について松野氏は、「コストのかかる分野や少人数教育に力を入れ、多様化する生徒に対応する役割を担うべきだ。また、私学が先に選抜を行う現状では公立が苦しいため、選抜方法を公立にも有利なように見直すことで同じ土俵で競争ができるのではないか」と語った。
最後に岩本氏は、「無償化の話は家庭の負担軽減の話であり、教育の質をどう上げるかという部分に予算が投じられていない。ここをセットでやらないといけない。教育委員会も含めて全体で教育改革をやっていく動きにしないと厳しい」と指摘し、授業料の負担軽減と教育の質の向上を一体的に進める必要性を訴えた。
(『ABEMA Prime』より)

