ついにこの時がやってきた。公式戦でデビュー以来無傷の13連勝という新記録を樹立し、将棋ファン注目を一身に集める最年少プロ棋士・藤井聡太四段(14)が、既に伝説ともいえる実績を残している絶対王者と対決する。
藤井四段が7人の先輩プロ棋士と対決する「藤井聡太四段 炎の七番勝負~New Generation Story~」の最終局で対戦するのは、あの羽生善治三冠(46)だ。通算のタイトル獲得数97期、七冠独占、竜王を除く永世六冠など、偉業を並べるだけでもきりがない。若手、ベテラン相手に5勝1敗の好成績を収めた藤井四段にとっても、羽生三冠という壁の高さはけた違いだ。
公式戦であれば、対決するまでにも数年かかるかもしれない夢の対局。デビュー間もない藤井四段にとって、これ以上ない経験だ。「僕が生まれる前からずっと将棋界のトップに君臨されている先生。お見かけしたことはあったかもしれないですけど、直接お会いしたことはない。四段のこの段階で羽生先生と対局できるっていうのは、普通はあり得ないことなので」と、まさに雲の上の存在だ。
とはいえ、将棋盤を挟んで向き合えば、棋士と棋士。「恐れ多い気持ちも多少はありますけども、全力でぶつかっていければと思っています」と、真っ向勝負を挑む構えを見せた。最終局はこれまでの持ち時間各1時間・秒読み30秒ではなく、各2時間・秒読み60秒と、時間も倍に増えているだけに、より実力が出し切れる状況だ。
若き力を受け止める天才・羽生三冠は、いたって自然体だ。「私も昔は中学生棋士でしたけど、今度は逆の立場になって対戦する。将棋の世界って順番に世代の離れた人たちとも対戦をしていくので、(藤井四段との対戦も)ひとつの流れ」と、落ち着いた口調で話した。「先輩の貫禄を示せたらいいですけど、でも、かなり強そうなんで」と笑いながら、最年少棋士の実力を評価した。「若い人の新たな将棋がどんなものか、実感していけたらいいなと思っていますし、一生懸命やって熱戦にしたいと思います」。棋譜という作品を、新たな天才と作りあげられることに、楽しみにしている様子だった。
羽生三冠は四段当時、タイトルホルダー5人全員と戦う対局企画で、4勝1敗という好成績を残した。藤井四段も今回、羽生三冠に勝利し6勝1敗とすれば、後々語り継がれる七番勝負となる。歴史的な対局は、4月23日の午後7時から始まる。
※対局の収録は2017年2月18日で藤井四段と羽生三冠は公式・非公式ともに初対局。
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