対局中に将棋ソフトを不正に使用した疑いにより昨年10月から12月31日まで出場停止処分を受けた三浦弘行九段(43)が5月24日、日本将棋連盟の佐藤康光会長(47)とともに東京都渋谷区の将棋会館内で会見を行い、一連の問題について和解に合意したことを発表した。報道約60人が詰め掛ける中、時折笑顔も見せ「将棋界の発展に棋士の1人として頑張っていきたいと思っています」と語った。

 三浦九段は出場停止処分を受けたものの、ソフトの不正使用については第三者調査委員会により、不正はなかったと発表されていた。昨年末で処分が終了、2月の羽生善治三冠戦で対局に復帰すると、4月には復帰後初勝利を挙げた。日本将棋連盟は、騒動の引責・体調不良により当時の谷川浩司会長らが今年1月に辞任を表明。さらに2月には臨時総会で、理事3人が解任される事態にもなっていた。

 この日は、一連の問題について三浦九段、三浦九段の弁護士・横張清威氏、佐藤会長が出席。冒頭に佐藤会長が和解合意にいたった経緯などを説明し「三浦九段の疑惑は晴れております。これからもその周知に努めたいと思います」と話した。三浦九段に対しては日本将棋連盟から慰謝料(金額は非公開)が支払われることも明かした。

 続いて三浦九段は、一部メディアにコメントを出すなど、疑惑・問題に関わったとされる渡辺明竜王(33)と同日、将棋会館内で急遽面談し、謝罪されたことを明かした。「竜王来られたのは急で驚きでした。将棋界を盛り上げていこうという気持ちは一緒ですので、暗黙の了解で伝わったのかなと思います。『すいませんでした』と2回か3回か、繰り返しそういう言葉を言っていただきました」と説明した。出場停止処分がなければ竜王戦七番勝負で対戦していた2人だけに、渡辺竜王の言動などには騒動が起きて以来、注目が集まっていた。

 報道陣から、今後対戦したい棋士はだれかという質問を受けた三浦九段は「藤井聡太さん、渡辺竜王、橋本(崇載)さんですかね。他意はありません」と笑顔で語った。復帰後、自身から要望した金属探知機によるボディーチェックは今後も継続する予定で「職員の手間を取らせて申し訳ない。時期を見て、やめてもらおうかなと思っています。(私の)心の弱さなので、本当に申し訳ない。自分だけ安心感を求めているだけなので」と率直な思いを吐露した。

 騒動が起きてから半年以上が経過し、将棋界全体を巻き込む事態になっていたが、会見終了後に三浦九段と佐藤会長は、笑顔で握手を交わしていた。

(C)AbemaTV

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