今や将棋界の枠を超え、日本中の関心事になっているのが、史上最年少でプロ棋士となった藤井聡太四段(14)だ。昨年12月のデビュー以来、負け知らずの25連勝を記録。歴代2位となり、今や対局があるごとにマスコミ各社が大々的に報じている。AbemaTVのニュースチャンネル、AbemaNewsでは特集企画「藤井四段に『2度負けた男たち』の証言」を6月14日に放送。浦野真彦八段(53)、竹内雄悟四段(29)、都成竜馬四段(27)の3人が敗れてなお藤井四段の“ファン”になる実力、魅力を語った。
ベテラン浦野八段が「これってあれかな。『藤井聡太被害者の会』でいいのかな」と切り出し笑いが起きるほど、今の藤井四段はとにかく強い。「将棋に負けてインタビューってないでしょ。(3人では)最初に負けたし、私が会長でいいかな?」と続けると、都成四段も「まさか何連敗目のっていう自己紹介をすることになるとは夢にも思っていませんでした」と続いた。竹内四段は真剣に「こういうのに出て藤井君がどうだったのかというのは語っておかなきゃ」と話したが、2度対決した3人は、今や藤井四段を最もよく知る証人だ。
浦野八段にいたっては、早くも“自虐ネタ”で小学生にうけている。「小学校に(将棋を)教えにいってね。藤井聡太って知ってる?と聞いたら、みんな手を挙げる。すごいなと思って、『先生は藤井君に2回負けています』と言ったら『おー、すげー』って歓声があがった」と笑いながら明かした。すると竹内四段も「僕も子どもの将棋教室で。『先生、どこで負けたんですか?』ってすごく言われて」と、似た体験談を披露した。将棋界の真剣勝負でありながら、世間の反応は「有名人と戦った人」というものになっている。竹内四段にいたっては「藤井さんの情報が世間にあふれていて、将棋関係者としてチェックするじゃないですか。自分と対戦する前に、藤井さんのファンになってしまいそう」と、うっかり“ファン化”しかけたという。
もちろんデビューしたての中学生に敗れたとなれば悔しい気持ちもあったが、すがすがしさすら感じたのが竹内四段だ。「負けてすごく悔しがったら、中学生の子相手にみっともないんじゃないかというのが自分の中にあって。でも、しっかりお互いの力を出し合って戦ったっていうのもあって、すがすがしい気持ちはあったと思います」。一方、都成四段は「もともと勝負に対して淡白な方かなと自分自身で思っていたんですけど、普段以上に注目される中で応援してくださる方もいたので、もっと食い下がって戦いたかった。もっとやれただろうという気持ちもあったので、余計に悔しかったですね」と、眠っていた闘争本能を呼び覚まされたようだ。
単なる将棋の勝ち負けだけでなく、対戦した先輩棋士たちの心をつかみ、時として先輩の力をも引き出す。藤井四段には、まだまだ明かされていない魅力が詰まっていそうだ。
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