将棋のプロ棋士、加藤一二三九段が6月20日、第30期竜王戦の6組昇級者決定戦の1回戦で高野智史四段(23)に敗れ、現役引退となった。今年1月、名人戦・順位戦C級2組から降級したことで、規定によりすべての対局が終了した時点での引退が決まっていた。
 加藤九段は、棋士養成機関にあたる奨励会在籍時、1954年に当時としては史上最年少の14歳7カ月で四段に昇段。将棋界初の中学生棋士となった。その後、名人戦・順位戦では4期連続で昇級し、若干18歳にして最高クラスのA級に到達。「神武以来(じんむこのかた)の天才」の異名を取った。タイトルは実力制では6代目の名人となったほか、十段3期、棋王2期など通算8期獲得した。このほか歴代3位の通産勝利数(1324勝)、最高齢勝利(77歳0カ月)など、77歳にして衰えぬ将棋への意欲を見せ続けた。得意の戦法「加藤棒銀」は、代名詞にもなっていた。