(プロのアスリートはどんなものを食べているのか? 伝説の格闘家・中井祐樹が語る)
最近健康ブームで、ランニングをする人の姿を街で見かけることも増えてきただろう。さらには、「糖質オフダイエット」や「マクロビ」「グルテンフリー」など、細心のケアを食生活に対して心掛ける人も多い。では、プロのアスリートは一体どんなものを食べているのか。そして、プロの目から見て、一般人はどんな食事をすればいいのか。柔術家でパラエストラ東京代表の中井祐樹氏に聞いた――。
まず、お断りしますが、私は今は現役選手ではありません。指導者です。(※編集部注:日本の総合格闘技大会の幕開けとも言われた)VALE TUDO JAPAN OPEN 1995に出場した時は71kgでしたが、現在は筋肉量が少し落ちたものの70kg代前半を常に維持しております。
――ココアを飲むとは意外でした……。(取材はファミレスにて実施。ドリンクバーで中井氏はココアを淹れた)
本来砂糖は避けていますが、コーヒーを朝のうちにすでに2杯飲んでしまったのです。カフェインも過剰摂取は避けています。コーヒーなら2杯、多くても3杯にとどめるようにしています。お酒は適量ならば飲んでいいのではないでしょうか。
アスリートの食生活ってものは、実はそこまで参考にならないかもしれません。というのも、格闘家の場合は階級があって過度な減量をすることもあるでしょうし、筋肉量を増やすための食事をしなくてはいけないこともあります。
だから、普通の人にとって重要なのは「よく動けるもの」を食べることです。つまらない回答かもしれませんが、食べるものは、一般的なものでいいんですよ。バランスが取れた一般的な食事でいいです。油分を大量に摂取せず、しょっぱすぎない味付けをし、砂糖を避ける。野菜や肉、青魚とかを食べて玄米食にする。ただし、玄米は皮がついていて消化はよくないので、とにかくよく噛みましょう。そうすれば腹持ちもいいですから一石二鳥です。
こうした玄米食に加え、私は昼ご飯はソバとか普通のものを食べていますよ。そして、食事で心掛けているのは何かを食べたら消化・吸収のために次の食事までに、4~5時間は開けるということです。朝抜く時もあります。そういった時は、りんごだけを食べたり、野菜ジュースだけを飲むとかをします。本来の食事の間にお腹がすいた場合は、ナッツ、チーズを食べるといいと思います。もちろん私はトレーニングをしていますが、こうした食生活でもう20年近くほぼ同じ体重を維持できています。
ただし、選手としてのトレーニングをしてるわけではないので、筋肉量を下げないことは考えつつも、さらに大幅に増やそうとは考えていません。結論として、一般の方はバランスの良いものをよく噛んで食べ、そして適度な運動をするだけでいいのではないでしょうか。散歩とかで十分です。
格闘技をやると、今度は過剰に色々やりたくなってしまうものなんですよね……。「選手になる」と「健康を維持する」は別物です。スポーツ自体は、健康維持を目的とするには激し過ぎるので、軽い運動でいいと思います。だからこそ、一般人はプロテインとかを摂取する必要はないと思います。ただし、栄養が足りていないんだったら、そういったものやサプリメントを摂取するのもアリでしょう。普通の人は偏りのない一般的な食事をしておけばいいのです。