放送対局が激増し、きらびやかな女流雀士たちが脚光を浴びるなど、一昔前からは考えられないほど昨今の麻雀界にはクリーンなイメージが漂っている。かつては博打としての側面が取り沙汰され、アンダーグラウンドな雰囲気さえ漂っていたこの世界に、東大出身の肩書きを引っ提げて身を投じた男がいる。麻雀界を変えた男・井出洋介(61)に、当時を振り返ってもらった。
「就職する気は初めからなかったですね。だから、就職活動もしなかった」。井出が東京大学文学部社会学科を卒業したのは、1979年のこと。同級生は官僚、銀行員、NHKなど、それぞれがエリート街道を歩み始めた。井出にも、そんな未来はあっただろう。だが、彼の視野にその道は毛頭なかったという。