■遺族の仇をとってやらにゃいかんという使命感に燃えました
インタビューに応じたのは、33年間にわたり刑務官を務め、大阪拘置所勤務時代に死刑執行に関わった藤田公彦氏(70)。今回死刑を執行した刑務官にかけたい言葉は何かと尋ねると「辛いけれども職務として自信をもって臨んで、また、今後に尾を引かないよう頑張って欲しい」と話す。

「刑務官」とは、刑務所や拘置所の受刑者たちを更生させるために指導や監督などを行う国家公務員だ。藤田氏が死刑執行に携わったのは「まだ末端の若い看守」だったときのことだという。
「夜勤明けのときのことでした。通常は朝の8時に集合して解散なのですが、その日は『今から呼ぶ者5名は、待機所で待機』という命令が出ました。居残りの場合は、『今から誰と誰は裁判所に行け』などと言われるのですがが、"待機"というのは一体何だろうと。まさか、という気持ちでおりました。待機室で『どうも執行ではないか』と噂をしておりましたら、30分後くらいに管理部長室に一人ずつ呼ばれ『(死刑執行ボタンを押す)執行係を命ずる』と言われました。みんな下を向いて、沈黙していましたよ」。
犯行記録に目を通し「遺族に代わって敵を討ってやらにゃいかんという使命感に燃えました」
