2017年シーズンから、プロ野球・横浜DeNAの主催試合の生中継を開始したAbemaTV。完全無料での中継ということもあり、横浜DeNAのファンはもちろんながら、対戦チームのファンの視聴者も多く、注目のカードとなればAbemaTV全体を見渡しても視聴数で上位にランクインする。長年の歴史がある野球中継で、AbemaTVがチャレンジし、ネット上で話題となっているのが選手の性格、日常などまで紹介する選手紹介のテロップだ。番組制作スタッフに、テロップ作成の裏側を聞いた。
プロ野球の中継は、歴史ある地上派放送はもちろんのことBS局、CS局、近年ではネット配信など、さまざまな環境で視聴することができるようになった。新規参入したAbemaTVとしては、何かしらの特徴を出す必要があった。
スタッフ DeNA戦の中継は、AbemaTV以外にも多くのプラットフォームで放送されているので、「AbemaTVならでは」の中継の楽しさを提供したいと思いました。また、野球に興味がない人に「野球って面白いものなんだ!」と思ってもらえるきっかけを作りたいという思いもありました。
選手紹介といえば打者なら打率、ホームラン、打点、投手なら勝敗数、防御率といったデータが主体。そこに近況であったり、出身校や過去の逸話などが加えられたりするのが一般的だ。ただ、AbemaTVのテロップは「試合前に食べるものが変わった」「小さいころのあだ名は○○」「子供の運動会で大活躍した」など、野球とは直接関係ないネタまで並ぶ。
スタッフ 選手がプレー以外の情報を発信してくれるTwitterやInstagramなどのSNSはチェックしています。そのほかにも、現場で取材を行っている番記者の方からの情報や、ご出演いただいている解説者の方に、選手に取材をしてもらうこともあります。
番組制作にかかわるスタッフ3~5人程度で、各カード(3連戦)の1週間前くらいから、ネタ収集の作業がスタートする。SNSなどの情報は随時更新されるので、できる限り新しい情報を番組に反映させようと心掛けているという。
スタッフ ネットで話題になって、そのことをきっかけに選手やプロ野球そのものに興味を持ってもらえていたらうれしいですね。
約半年、細かい選手ネタを紹介し続けてきて、視聴者のニーズも分かってきた。反応がよいものは、AbemaTVの特徴でもあるコメント欄が大いに盛り上がる。
スタッフ プレーとは全く関係のないネタ…というと語弊があるかもしれませんが、真剣にプレーしている選手の意外な一面というような、人となりが伝わるものだと反応が大きいように感じています。
今後の中継でも、この選手紹介は続けていく予定だという。とはいえスタッフだけでネタ収集を続けるのもかなりの労力。視聴者からの情報提供を絶賛募集中だという。
スタッフ 野球を全く知らない方にも興味を持ってもらえるような情報を提供していきたいですね。そして、この中継がきっかけでプロ野球を好きになってくれたら、さらにうれしいです。ただ、さすがにスタッフも苦しくなってきている部分があるので、視聴者の方の「私俺ならこんな話知ってるよ!」というのをぜひ教えて頂けたら非常に助かりますね。
自分が知っているネタが番組に反映され、それをもとに実況・解説・視聴者がさらに盛り上がる。視聴者全員がネタを集める“記者”となれば、AbemaTVの野球中継は日本一細かい選手情報があふれかえる、過去に例のない番組になる。
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