佐々木大地四段(22)は8月中旬、野生のカワウソが発見されたと話題になった長崎県対馬市の出身である。1970年代に絶滅したとされる日本固有種のニホンカワウソではあるまいか?との情報(期待?)も飛び交ったが、当の佐々木大地四段は「イヤ、さすがに違うんじゃないでしょうか…」とテレながらも、棋士らしく冷静に分析する。ツシマヤマネコなど多くの希少動物が棲息する自然豊かな島で育ったが「カワウソは見たことないです…」と正直に語る。

 現代の若手棋士には珍しく、どこか野生的な魅力を放つ22歳だ。今、イイ感じに伸びている髪は、2016年4月の四段昇段時は丸刈りだった。結果的に最後となった三段リーグで9勝3敗と快調に勝ち星を伸ばしている中、痛い連敗を喫した際に戒めとして頭を丸めた。原点に立ち返って奮起した佐々木は12勝6敗で次点(3位)に滑り込み、2度目の次点獲得によるフリークラス昇段規定を満たし、棋士になった。

 「僕と羽生さんが本当に殴り合ったら僕が勝つと思う」の超名言で知られるA級棋士・深浦康市九段門下。常に熱い闘志を燃やし続け、王位3連覇も果たした師匠と同じ九州男児は、将棋への熱い情熱を継承している。

 福岡県まで高速船でも2時間以上かかる対馬で生まれ、父と祖父の手ほどきを受けて3歳頃に将棋を始めた。近所に将棋道場はなかった。一昔前であれば棋力向上にハンデを抱えていたであろう環境下にあったが、険しい玄界灘も越えていくインターネット回線という武器が残されていた。ネット対局を指しまくって腕を磨いた。

 小学6年時に出場した小学生名人戦では全国の強豪をなぎ倒し、3位入賞を果たす。ちなみに準決勝で佐々木大地四段に勝ち、準優勝したのがともに「魂の七番勝負」に登場する近藤誠也四段だ。同じく3位には、今年9月に四段昇段を果たしたばかりの古森悠太新四段の名前もある。

 姉の大学進学のタイミングとも重なり、小学校卒業とともに神奈川県に転居した。中学1年の秋に奨励会入会。仕事を変えて、息子に夢を託した父の期待に応えるために研鑽を積み、8年の月日をかけて四段昇段を果たした。

 棋士になってからは、すさまじい快進撃を開始する。フリークラスでの四段昇段者は10年以内に規定の成績を満たさないと引退しなくてはならないルールがあるが、佐々木はデビューから20勝8敗と勝ちまくって初年度での順位戦C級2組への昇級を果たす。同規定9人目にして最速の昇級だった。

 通算43勝17敗(2017年9月27日現在)。勝率は7割を超えている。9月、藤井聡太四段と激突した新人王戦準々決勝でも、終盤で相手の緩手を的確に咎めて勝利。中学生新人王誕生の夢を打ち砕いた。

 プライベートでは渡辺明竜王、佐藤天彦名人、佐々木勇気六段らも参加している将棋連盟フットサル部のメンバー。いじられキャラで愛されている。

 ◆佐々木大地(ささき・だいち)四段 1995年5月30日、長崎県対馬市出身。深浦康市九段門下。棋士番号は306。2008年9月に奨励会入り。2016年4月1日に四段昇格を果たしプロ入り。棋風は居飛車党。AbemaTV「若手VSトップ棋士 魂の七番勝負」では、第1局(9月30日放送)で屋敷伸之九段と対戦する。

(C)AbemaTV

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魂の七番勝負~若手VSトップ棋士~ 第一局 | AbemaTV(アベマTV)
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若手棋士7人がトップ棋士7人に挑む魂の七番勝負第一局。世代交代なるか!注目の第一局は雑草魂・佐々木大地四段が最年少でタイトルを獲得した記録を持つ屋敷伸之九段に挑む。持ち時間一人2時間。切れたら1分。