将棋界の今後を占うAbemaTV「若手VSトップ棋士 魂の七番勝負」が、想像以上の勝敗結果で、ファンの話題になっている。23歳以下の若手と40代のベテランが、団体戦で対決する企画だが、5局目までを終えて若手チームの5戦全勝。「世代交代なるか!?」をテーマに企画されたものだが、眼前に現れたのは容赦ない結果だった。この流れを受けて行われるのが「矢倉は終わりました」と衝撃的な発言で話題となった増田康宏四段(19)と、居飛車党で矢倉の使い手の1人、三浦弘行九段(43)だ。
増田四段は、中学生棋士・藤井聡太四段(15)の29連勝目の相手として、多数のメディアで取り上げられた棋士だ。結果は藤井四段の勝利に終わり“引き立て役”となってしまったが、今秋には藤井四段が途中で敗退した新人王戦を連覇。将棋ソフトを駆使しての研究にも積極的で、過去の戦型とも言われた雁木(がんぎ)を得意戦法とする、既成概念にとらわれない上り調子の若武者だ。
一方、三浦九段は将棋ソフトの不正使用の疑いをかけられ棋士生命も危ぶまれたが、その後の調査で身の潔白が証明されると、将棋感を取り戻したのか徐々に復調。今年度の成績も勝率.666(2017年11月2日現在)と好成績を誇っている。
将棋ソフトの台頭から若手、ベテランともに「これまでの研究が役に立たなくなった」と語る棋士は多い。これまで多くの棋士が活用し名局を作り上げてきた矢倉が、ソフトにより復活した雁木とぶつかり合うのは、将棋棋士の世代交代の代理戦争とも言える。11月4日の対局には、将棋界の近未来が映し出される。
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