将棋の23歳以下の若手棋士と40代のトップ棋士が7人ずつの団体戦で競う「若手VSトップ棋士 魂の七番勝負」の第6局が11月4日にAbemaTVで放送され、増田康宏四段(20)が三浦弘行九段(43)に111手で勝利した。これで若手チームは第1局から第6局まで無傷の6連勝。7戦全勝の“完全勝利”に王手をかけた。
有言実行。世代交代を目指しながら、誰も口にしなかった「若手全勝」を宣言していた増田四段が、堂々と結果を出した。「(戦前インタビューで)予想で7勝0敗と言ったので、自分でそれをなくすわけにはいかないなと、とてもプレッシャーでした」と、静かに答えた。トップ棋士7人の中でも調子を上げている三浦九段に勝利したからこそ、より一層の安堵感に包まれた。
代名詞でもある雁木(がんぎ)で、初手合いの先輩棋士に挑んだ。「居飛車で手厚い感じで来られるかなと思っていましたが、そのとおりでした」と、イメージどおりの序盤で進んだ。研究の柱に据える将棋ソフトで生まれ変わった雁木を駆使し、徐々に盤上を制圧していった。「本当に今の若手は、みんな勝ちますからね。自分だけ負けていたらひどかったので、ホッとしています」。中学生棋士・藤井聡太四段(15)の対局で、初めて年下の棋士に敗れて大きなショックを受けた。敗戦を糧にして成長した増田四段が、団体戦とはいえ他の若手棋士から遅れを取るわけにはいかなかった。
勢いのある若手有利を予想する人はいても、全勝とは言い切る人はほとんどいなかった。将棋界を揺るがす結果が、ついにそこまでやって来た。大きな時代のうねりが、今ピークを迎えている。
敗れた三浦弘行九段のコメント 精査してみないとわからないが、少し足りないかなとは思っていました。増田四段がご自身の勉強方法や雁木に自信を持っているのを感じました。ソフトによって昔はないと思われていた手が、どんどん掘り返されていると思います。
(C)AbemaTV