目標はプロ野球だ。大手芸能事務所・オスカープロモーションに「プロ麻雀士」として所属する女流麻雀プロの松嶋(33)が、今後の麻雀業界について「もっと麻雀の対局を見て楽しむ人が増やしたい」と目標を語った。近年、BS・CS局やネットテレビ局を中心に増え続ける麻雀対局番組。「自分はやらないけれど、観戦するのが好きという人が増えれば」と、業界発展の足がかりとなるテーマを見出した。

 BS・CS局やネットテレビ局で「麻雀を放送する」といえば、オーソドックスなのはプレイヤー向けに戦況を的確に伝える実況、対局者の選択などを説明する解説者など、「玄人好み」するものだ。「最近、自分や麻雀をやらないけれど、観戦するのが好きという人が増えているようで。それがいいと思うんです。私はプロ野球とかよく知らないのですが、でも見ていて楽しいし、ファンの方もいっぱいいるので」と説明した。

 麻雀と比較されることも多いテーブルゲームとして、将棋がある。将棋ファンには実際にプレイする「指す将」」の他に、観戦して楽しむ「観る将」という言葉がある。松嶋が言わんとするつのは、観る将ならぬ「観る雀」だ。「こういう普及の仕方もあるのかなと。特に女性のファンの方はそう。自分ではそこまで打たないけど、見るのが好きという人。見せるということは大事なんだなと思いました」と続けた。

 プロ野球の世界には広島ファンの女性を意味する「カープ女子」に代表されるように、実際に野球の経験がない、さらにはこれまで野球というコンテンツそのものに触れたことすらない女性が、あるきっかけでテレビ観戦したり、球場に足を運んだりするという現象が増えている。ルールもそこまで詳しくないにも関わらず熱狂的に応援する様子は、麻雀界にはないものだ。「最近は男性の麻雀プロも人気が出てきたんですよ。この前、一緒にラーメン屋さんに行ったら、そのプロがファンの方に声を掛けられていて。顔バレするようになったんだなあと、うれしくなっちゃいました」とほほ笑んだ。

 麻雀でもスポーツでも、詳細を知らずに応援する人々のことを古参のファンが「にわか」と呼び、下に見るケースも少なくない。それでも広く見渡せば観戦して楽しむファンは、そこまで詳しくない人も多く、むしろそれでも楽しめるコンテンツの方が広がりはある。「よくわからないけど、なんか見ていたらすごそうで、最後は感動した!」。こんなファンが増えるという松嶋の願いがかなえば、麻雀業界の未来は景色はガラリと変わる。

 ◆松嶋桃(まつしま・もも) 1984年9月16日、愛知県出身。京大・法学部卒業後、麻雀プロ団体の1つ、日本プロ麻雀協会のテストを受験し、トップの成績で合格。麻雀プロとして活躍する一方、テレビのクイズ番組で優勝。それをきっかけに2017年7月から大手芸能事務所のオスカープロモーションに「プロ麻雀士」として所属することになった。攻撃的なスタイルから「京大式小型肉食獣」という異名がある。

(C)AbemaTV

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