今年4月、トーナメントに優勝しK-1のスーパー・バンタム級(-55kg)王者になった武居由樹が、9月に続いて11月23日のさいたまスーパーアリーナ大会にも参戦する。対戦相手はアメリカのビクトー・サラビア。K-1最大のスターである武尊と好勝負を展開したアグレッシブなファイターだ。

サラビアについて、武居は「スピードもパワーもあるし、何より気持ちが強い。いい選手だと思います。絶対いい試合になる」と言う。アグレッシブな選手だが「粗さは感じないですね。パンチもしっかり打ってくる印象です」とも。すでに研究にも余念がないようだ。これまでのキャリアでは国際戦の経験が少ないという面でも、武居にとっては試練の一戦だと言えるだろう。

「スーパー・バンタム級、-55kgはK-1の中で一番軽い階級ですけど、他の階級に負けない迫力を出せればって思います。もちろんスピードだったりテクニックの魅力もありますし、その上で迫力もあるぞっていう」

9月の伊澤波人戦、武居はまさにスピードもテクニックも見せつけた上でKO勝利を収めている。驚いたのは、伊澤が得意とするローキックの威力を完全に殺していたこと。「たぶん一発も効いてないでしょうね」と伊澤はうなだれていた。

蹴りはスネでブロックする(カットする)のが基本の一つだが、武居はカットするのではなく充分な威力を出せない距離で闘い、また伊澤がローを蹴る方向に動き続けることでダメージをなくしていた。動き続けるから攻防のテンポも落ちない。3分3R、短期決戦のK-1ルールらしい闘い方だ。そこには、従来のキックボクシング、3分5Rの闘いとは違う技術、別のロジックがある。

「KOするのは大事ですけど、ガムシャラに打ち合うだけではないです。技術があって、自分でいろんな工夫をして、その上で生まれるのがKO」

そのKOも、武居には理想像がある。

「今はボディを効かせたり、いろんな攻撃をしてディフェンスがあいてるところを狙うっていうスタイルなんですけど、最終的には一発で倒せる選手になりたいですね。全盛期のK-1ヘビー級みたいな闘いが憧れです。そのほうがインパクトがあると思うので。K-1のチャンピオンにはなりましたけど、僕はまだ成長過程なんです」

これからまだまだ、武居由樹は強くなっていくということだ。11.23のサラビア戦で、その片鱗は見られるだろうか。

文・橋本宗洋

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