数々の暴言が批判を浴びている日本維新の会の足立康史衆議院議員。その矛先は"天敵"の朝日新聞にも向けられた。同紙が11日付社説で「加計学園の獣医学部の新設許可が下りても一件落着とはならない」と主張したことに対して、Twitterに「朝日新聞、死ね。」と投稿したのだ。
この発言に対しては日本維新の会の松井代表が「炎上させて確信犯的に話題のために手段としてやったのだろう。死ねとか表現を見直した方がいい。子どもが真似をするとよくない」と苦言を呈したほか、橋下徹氏も16日放送のAbemaTV『橋下徹の即リプ!』で「"死ね"はアウトだと思う。"ボケ""アンポンタン"はアリ。"廃業しろ"まではOK」とコメントした。これを受けた足立氏は17日、「死ねはダメ、廃業しろまではOKということなので、これからは『朝日新聞廃業しろ』ということを言い続けていきたい」と述べた。
朝日新聞は16日の社会面で「国会という場で弊社報道を『捏造』とした足立氏の発言は事実に反し、弊社の名誉を著しく傷つけるもの」だとして抗議したが、翌日には再びツイッターに「朝日新聞、廃業しろ!」と投稿。非難の論調ばかりのマスメディアに対し、ネットでは一部から絶賛の嵐も起こっている。
25日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した足立議員は「私は"死ね"という言葉は絶対使ってはいけないと思っている人。でも、"日本死ね"という言葉が国会で全く非難されることなく用いられ、流行語大賞として日本のメディア・社会が容認した。それなら私も使わせていただくということ」と説明。
Twitterで「国会議員が"死ね"ということは許されないだろう」と非難していた民進党の小西博之参議院議員は「国会議員というのは法律を作って国民を死刑にすることもできるすごい権力を持っている。民主主義を実現するためにいる我々は良くも悪くも社会のリーダー。それが誰かに対して"死ね"という全否定の発言をするのは、私は絶対に許されないと思う。一般市民が発言するのも穏当ではないかもしれないが、国会議員の発言と一緒にしちゃいけない」と改めて強い口調で批判した。
元朝日新聞編集委員でジャーナリストの山田厚史氏は「初めて今日お会いしたが、第一印象は普通。お役人にはこういう方が時々いる」としながらも、「"死ね"という言葉で何を言いたかったのかなあと。怒りを表す表現ではあるが、そういう言葉でしか表現できないというのは、国会議員なのに少し悲しい気がする」と感想を述べた。
こうした批判に足立議員は「私も"死ね"は良くなかったと思って、撤回したし謝ってもいる。だから"廃業しろ"にしている。ただ、私が皆さんに理解していただきたいのは、この言葉を使った背景に誰も耳を傾けないから。こういう言葉を使ったから番組にも呼んで頂けている。ネガティブチェックのためだけど朝日新聞は取っているし、嫌いじゃない」と意図を説明。しかし小西氏は「新聞社の主張に異議があるのなら、議論を申し込めば良い。朝日新聞の論説委員や編集委員と堂々と公開で議論をする、あるいは公開でないのなら直接会いに行けばいい。私も安保法制は合憲だと書いたある新聞の社説の責任者に会いに行った。その新聞はそれ以来、合憲だと一行も書かなくなった。国会議員であればそういう仕事をしなければならない」と反論した。
一方、コラムニストの吉木誉絵氏は、足立議員が言及した「保育園落ちた日本死ね!!!」ブログについて「政府、社会に対する女性たちの憂いだし、私も同感するところもあった。しかし、山尾志桜里議員が国会で取り上げ、それを与党との対立の材料として使ったのは罪深いことだと思う。あれは与野党が一緒に乗り越えないと行けない問題なのに、"総理、分かっているんですか?"と。総理としては匿名性の高いものにコメントはしづらいと思う」とコメント。
さらに、自民党の中村彩氏も「あのブログが国会に出てメディアがこぞって取り上げたことで、与党が何か悪いことしているのではないかという印象操作になったと思う。もりかけ問題でも、閉会中審査での元愛媛県知事の発言についても朝日系は取り上げなかったとか、偏った印象操作によって国民に反映されてしまっているのは問題だ」とした。
こうした批判に山田氏は「"朝日新聞、死ね"は朝日新聞に無くなれという意味。"日本死ね"は日本が死ぬわけではないから、一種の叫びだと思う」「ここに問題があると思ったらクローズアップするのは編集機能としてある。それを印象操作と言うか、ハイライトにしているというかは、受取方の違いだ」と反論。さらに足立氏が森友・加計学園問題についての朝日新聞の報道を「捏造」と表現したことについて、山田氏は「根拠のない誹謗中傷はいけない。マッチポンプとも言われたが、別に朝日新聞が火をつけてそれを自分で消したわけでもない」と苦言を呈した。
これを受けて足立氏は「朝日新聞は5月17日の朝刊1面で『総理のご意向があった』と悪意ある切り取り方をして報じた。書類の写真も後半の大事な部分が黒い影で読者に見えにくいようにした。そうやって火をつけて、自分が報じた問題が11月になってもまだ解決してないから11月11日の社説でまた煽った。生徒募集を始めているのに風評被害になる。大変な怒りを感じた」と反論。朝日新聞が報じた文書『大臣ご確認事項に対する内閣府の回答』の記述の解釈、また国家戦略特区の選定手続きを巡って、小西議員・山田氏と激しい議論の応酬を繰り広げた。
番組での議論は平行線をたどり、足立議員も「本質的な問題議論したかったから。言葉狩りが激しすぎた」「とにかく朝日新聞が捏造報道だということは言い続ける」と強気の姿勢を崩さないまま。小西議員が「(足立議員との)2ショットはこれが最初で最後ですから」と苦笑すると、足立議員は「亡命?亡命するの?」とツッコミを入れていた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)