メディアやコンテンツが増え、近年着実に人気が高まった麻雀だったが、2017年は将棋の藤井聡太四段の29連勝、羽生善治「永世七冠」達成など、強烈な将棋ブームに世の中は湧いた。将棋に追いつき、追い越せが大目標だった麻雀界は、まさに正念場。トッププロの多井が、タイトルを取るだけでなく、将棋界にも負けない気持ちを語った。
「タイトルを取った先に見えてくるもの」を具現化していきたい。RTDリーグ初代王者、多井隆晴の言葉には説得力がある。最速最強の異名を持ち、獲得タイトルをすべてあげろと言われても、正直全部をあげられない男。それだけ勝たせてもらってきた立場だけに、自分がどうこうではなく、麻雀界全体で勝負したい。麻雀界という特殊な世界が世間に認知されるためにはどうしたらいいのかを常に模索し、真摯に取り組んでいる。
RTDリーグをはじめ麻雀チャンネルを、AbemaTVの他チャンネルよりもいいものにしたい。だから将棋チャンネルにも負けたくはない。今はおこがましいかもしれませんが「ライバルは羽生善治永世七冠」と即答する。その一歩として、BLACKは、WHITEに負けたくない。視聴数でもコメント数でも注目度でも「多井のいるDIVSIONのほうがおもしれえ」と感じてもらえる内容にしていくつもりだ。
タイトルを3つ4つ取った先は、格段に上手くなるわけでもない。優勝しようが予選で負けようが迎える朝は同じ。だから自己管理と自己否定を繰り返すことだけは欠かさないと肝に銘じている。
「麻雀には人間そのものが出るので、相手を知ることが出来る」と普及に力を入れている理由も明快だ。だからRTDリーグでは、技術はもちろんだが、出場選手たちの人となりも知ってほしいと願っている。
トッププロであればあるほど、弱い立場の人に優しくないと、真に強くはなれないと、女子高生大会、初心者教室にも力を注ぐ。将来的には子供麻雀教室もやっていく考えだ。「友達とも仲良くなれるし、頭も良くなるので、塾に通うよりも役に立つ」と確信もある。そして将来なりたい職業として、将棋のプロ棋士同様、大衆に認知されるように立ち居振舞うのは我々の使命でもあると、麻雀プロとしての意識を高みに置く。
RTDリーグ2018には、謙虚な姿勢で臨む。昨年予選で負けたことを活かし、出場選手全員からいいところを学び、自分に合うものがあれば取り入れていく。そして多くの人に愛されるよう、ひとつの仕事、ひとりのファンを大切にしていく。「タイトルを取った先に見えてくるもの」を具現化し、麻雀に恩返ししていくために。【福山純生(雀聖アワー)】
◆多井隆晴(おおい・たかはる)1972年3月17日、東京都生まれ、B型。RMU代表。第1・9期日本オープン、第31期王位、第1・3・6期RMUリーグ、麻雀日本シリーズ2015-2016他多数。著書は「多井隆晴の最速最強麻雀」「最速最強麻雀 多井隆晴の最新麻雀戦術」。異名は「最速最強」。
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