将棋の対局番組を楽しむファンの中で、1つのコンテンツになっているのが、棋士が休憩時間に食べる「将棋めし」。丼、定食、麺類など、毎回チェックし続けてみると、棋士の好みが分かり、将棋とは違う一面が見られるのが人気の理由だ。ただ、この将棋めしも今ではすっかり出前がメインだが、つい最近までは外食OKだった。ベテラン棋士には「いまだにリズムがつかめない」と嘆く人もいるという。
もともと将棋の対局は、ほんの最近まで休憩時間はおろか対局中でも外出は自由だった。ある棋士は「将棋会館から5、6分のところでおいしいご飯を食べて、その後にあたりをぐるぐると散歩して消化をうながし、リフレッシュするのが日課でした。それを何十年とやってきました」と、対局時のルーティンを説明した。
ただ、2016年にルールが変更され外出禁止になってからは、当然外食はできず、対局場から離れて休憩するといっても建物内の別の場所に行く程度。持ち時間や休憩時間を活用して、外で気分転換をしてきた棋士たちからすれば、ストレスが溜まる場合もある。「何十年とやってきたものができなくなるっていうのは大変。自分はいまだにリズムをつかめていないですね。出前も取りたくないですし」と、ファンが「何を頼んだのかな」と注目している裏で、悩んでいる棋士もいる。
その点、快進撃を続ける中学生棋士・藤井聡太六段(15)は、デビュー戦となった2016年12月の時点で、既に外出禁止になっていた。対局が始まったら、終わるまで建物内にいるという状況からスタートを切っているので、それが当たり前だ。「藤井くんは最初から出前だから、スムーズに自分のリズムが作れてのびのびやれている印象がありますね。私もいつまでも悩んでいてはいけないのですが(苦笑)」。外出禁止が、どこまで勝負に影響が出るのか定かではないが、藤井六段が自然体で対局に臨めていることは間違いなさそうだ。
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