23日、「プレミアムフライデー」が1周年を迎えた。主導する経済産業省の調査によると、言葉としての認知度はおよそ9割に達しているが、実際に早帰りができたという人は、わずか1割にとどまるのが現状だ。
そんな「プレミアムフライデー」だが、Twitter上では"大喜利"のネタとして大人気。「Twitter 開いて気付く プレミアム」「プレフラって残業がプレミアムに多い日だっけ?」「プレフラの功績は強制力のない政府の掛け声に効果など期待できないということを国民に知らしめたことだと思う」と、皮肉で盛り上がる。
この1年、プレミアムフライデーの16~18時、通常734円のビールを500円にする割引を継続してきた「YONA YONA BEER WORKS」(東京・赤坂)の田中宏典店長は「導入当初は反響が早い時間からあったが、年が明けてからはそうでもないかな。通常の金曜日かなといったところ」と話す。「これからどんどん認知が広がっていけばいいなと思って1年間続けてきた。今後も続けていく」。
そんな中、衝撃的な発表も行われている。浸透不足を焦ったのか、1周年に先立つ14日、広告代理店や経済団体などによる官民連携の「プレミアムフライデー推進協議会」が起死回生の一手として打ち出したのが「振替プレミアムフライデー」だ。これは月末の金曜日が忙しいなら、別の金曜日に振り替えることを提案。さらに「働き方改革」の観点から、月に一度は早く帰ることも重要だとして、金曜日にこだわらず、どの曜日に振り替えてもいいとしている。
そもそもプレミアムフライデーは、お給料が入った月末の金曜日にみんなで午後3時に仕事を終えて消費を促進、経済の活性化に繋げるのが目的だ。
元経産官僚の宇佐美典也氏は「行き詰まっている感はある。もともと厚生労働省の分野である働き方改革に経産省が乗り込むという戦略の中で、何を具体的にやるかと出てきたのがこれ。しくじったということをそろそろ認めたいだろうが、そうするとやることが無くなってしまうという苦しい状態だろう。担当の局長が変わるまでは続くのではないか」と推測した。
また、千葉商科大学専任講師の常見陽平氏は、この路線変更について「忙しい月末、午後3時に帰るのはそもそも無理なこと。個人消費の喚起を促すという当初の目的とも矛盾している。柔軟な取り組みだとは思うが、振替まで実施する意味はほとんどない」と指摘した。
1周年にあたり、閣僚もコメントしている。「徐々にではあるがこの取り組みが進んできているのではないか」(菅官房長官)、「1年目として順調に進んでるのではないか」(世耕経済産業大臣)、「特に関心ありません」(麻生副総理)。プレミアムフライデーは今後、どうなっていくのだろうか…。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)