平成もすでに30年目を迎え、昭和はまさに「遠くなりにけり」のご時世だ。しかし、相撲界では現役力士で唯一、昭和の時代を知っている男がいる。

 1986年春場所が初土俵の華吹(はなかぜ=立浪)が今場所も序二段の土俵に上がり、力士生活33年目のキャリアがスタートした。超ベテラン、47歳の初日は17歳の欧翔山戦。親子ほど年齢の離れた対戦は相手に土俵下に吹っ飛ばされてしまった。

 1年前の春場所で同期生だった北斗龍が引退して以降、華吹が単独で現役最古参となった。ちなみに師匠の立浪親方(元小結旭豊)は1987年春場所が初土俵なので、“弟弟子”ということになる。華吹が入門当時した当時の横綱は千代の富士。現・八角理事長は北勝海を名乗る前、まだ保志という本名で関脇だったこの場所で優勝しているから、まさに隔世の感だ。

 各スポーツ界にも長いキャリアを誇るアスリートは存在する。サッカーJリーグが発足したシーズンから活躍する、今は横浜FCに所属する51歳の三浦知良選手は、プロサッカー選手としては世界最年長だ。スキージャンプの葛西紀明選手は19歳でアルベールビルオリンピックに初出場して以来、45歳で出場した今年の平昌まで史上最多となる計8回の冬季オリンピックに出場した。大リーグのマリナーズに復帰したイチロー選手も44歳でメジャーリーグ現役最高齢。

 彼らよりも華吹はプロキャリアとしては上をいくが、世間の注目を浴びないのは「関取になって一人前」という角界の慣行があるからだ。最高位は三段目18枚目。今後もスポットライトを浴びる可能性は極めて低いが、それでも“角界のレジェンド”は土俵に上がり続ける。

(C)AbemaTV

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