「行司が力士と同じように相撲部屋に所属しているのっておかしくない? 自分の部屋の力士をえこ贔屓しないの?」。相撲をあまり見ない人からそう聞かれることがよくあるが、行司の世界でそれはありえない。
 なぜなら、行司には行司としての絶対的なプライドがあるのは当たり前として、大相撲のルール上、行司には勝負判定の最終決定権がないからだ。
 相撲をよく見ていればすぐに分かる。行司はどんなに判断が難しい場合でも、東西いずれかの力士に軍配を上げて勝負の判定をしなくてはならない。でも、その判定に異議を唱える“物言い”をつけ、最終的に判断を下すのは土俵下に座る5人の審判委員。判断基準にはビデオ再生も用いられる。つまり、行司には勝負の最終的決定権がない。