対局中の食事やおやつが注目を浴びる将棋界で、その徹底した好みにファンたちがざわついている。現在、8大タイトルの1つである棋王のタイトルに挑戦中の永瀬拓矢七段(25)のおやつは、実に特徴的だ。棋王戦五番勝負で注文する品が、とにかくバナナ、バナナ。そのこだわりに、ファンの間からは「バナ永瀬」「永瀬バナナ段」など、名前をもじった異名が飛び交い始めている。
将棋に対する厳しい姿勢や発言から、「軍曹」と呼ばれることもある永瀬七段だが、今回の棋王戦五番勝負でバナナ好きが注目を浴びてからというもの、すっかりバナナキャラが定着している。第4局までを終えて、永瀬七段が食べた本数、実に23.5本。「将棋めし」はたびたびネット上で話題になるが、バナナという果物や音の響きからか、圧倒的な拡散力を誇っている。
棋士のおやつについては、これまでも注目されてきた。引退した加藤一二三九段がみかん、チョコレート、チーズなどをよく食べていた。また昨年、羽生善治竜王から王位のタイトルを奪った菅井竜也王位は七番勝負の間、徹底してフルーツ盛り合わせを注文していた。最年少棋士・藤井聡太六段についても、チョコレートを対局中に食べることから、報道陣からも度々チョコレートについて質問が飛んだ。
将棋棋士の栄養補給は、長時間の対局に耐えるためにも必要不可欠だ。「1局終えると2~3キロは体重が落ちる」と言われ、難解な将棋を読み解くためには、脳が大量に糖分を必要とする。バナナは炭水化物が豊富な上に、消化吸収の早い糖類とゆるやかな糖類を併せ持つことで、スポーツ時の栄養補給にもよく用いられる。「頭脳スポーツ」とも言える将棋の対局時には、うってつけの果物だ。
指し手同様、バナナの食べっぷりが注目される永瀬七段が登場する棋王戦五番勝負の最終第5局は3月30日。勝負が決まる終盤でも、おいしそうにもぐもぐしていれば、それは悲願の初タイトル奪取が見えてきた兆候かもしれない。
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