米大リーグ・レッドソックスなどでセットアッパーとして活躍し、ワールドチャンピオンにも輝いた野球解説者の岡島秀樹氏が、同エンゼルスで投打の二刀流に挑戦、奮闘を続ける大谷翔平選手(23歳)に言及。去る17日(現地時間)、メジャー初黒星を喫した対レッドソックス戦での敗因について「実は投げる球が無かった」と分析。さらに“投手・大谷”の成功を可能にする「第2の決め球」の必要性を説いた。
「2イニング目にできた右手のマメ」を初黒星の要因の一つとする声が多かった中、岡島氏の分析は、もう一歩踏み込んだものだった。あの日の大谷について「実は投げる球が無くなっていた」と切り出すと、先頭打者のベッツに被弾したシーンに着目。「基本的にベースに掛からないところにボールが行っていたので」と大谷の調子を踏まえたうえで、「3ボール2ストライクの状況で、決め球のスプリットを投げても簡単に見極められる。スライダーは外れてしまう。“残された選択のストレート”が、選球眼の良いベッツ選手に狙い撃ちされたということです」と、ストレートしか投げることのできなかった苦しい状況を指摘した。
その上で、ヤンキースの田中やカブスのダルビッシュなど、先に米大リーグに渡り、結果を残している先輩投手との違いについて「第2の決め球」の有無を挙げた。
「あくまでも現時点での大谷投手に関しては、スプリットに代わる決め球の選択肢がありません。それではストレートとスプリット、どちらかが本調子ではなかったときに、前回のような結果を繰り返してしまいます。田中投手やダルビッシュ投手のようなスライダー系の『横の変化』が欲しいところですが、球質、コントロールとも、まだその域には達していません。私のようなセットアッパーとは異なり、先発として勝ち星を積み重ねるためには、もう一つの決め球が必要です」と岡島氏。
では、スプリットに代わる決め球は何か――。
「ゴロを打たせ、球数を減らすことにも役立つ『ツーシームやカットボール』が有効でしょう。ただ、メジャー特有のボールや乾燥した気候においては、経験上、さほど影響を受けにくいスプリットと違って、横の変化は滑って抜けやすくなりますので、対応は求められるでしょう」と、自身の経験からのアドバイスも忘れなかった。
エンゼルス大谷の3勝目をかけた次回登板は、24日(日本時間25日)の対アストロズ戦を予定。22日(日本時間23日)の対ジャイアンツ戦では「4番・DH」起用の期待に応えて1安打を放った大谷だが、“投手・大谷”のさらなる活躍にも注目が集まる。