昨年、平成29年初場所で悲願の初優勝を果たし、14年間途絶えていた“日本出身横綱”が誕生した。第七十二代横綱・稀勢の里の誕生により、日本中が稀勢の里フィーバーに沸いたことは記憶に新しい。しかし、新横綱として挑んだ翌春場所で稀勢の里に早くも試練が訪れる。
 初優勝の勢いをそのままに、初日から十二日目まで全勝。十三日目の相手は第七十代横綱日馬富士。誰もが稀勢の里の連勝を信じた一番だったが、日馬富士の立ち合いの鋭さが光った。電光石火のごとく、突き刺さるような立ち合いから両差しで前に出る日馬富士。稀勢の里は小手に振り凌ごうとするも、日馬富士が止まることはなく、そのまま寄り倒された。