幾度のケガを乗り越え、新入幕から約4年半。悲願の新三役の座を手に入れた遠藤に笑顔はなかった。師匠の追手風親方によれば、酒も飲まず、遊びにも行かず、稽古、治療、トレーニングの繰り返しで夜はほとんど出歩かず、逆に師匠が心配するほどだという。
「まだ忍んでいます。お先真っ暗と思っている」。新三役昇進会見という晴れの舞台にもかかわらず、当人はそんな言葉で心境を表現した。
史上最速の入門から所要3場所で幕内昇進を決めると新入幕場所も快進撃は止まらず、十二日目には2ケタ白星にリーチが懸かる9勝目。あと1勝すれば三賞もほぼ確実の情勢だったが、左足首の捻挫で十四日目から休場となってしまった。場所後の秋巡業には出場したものの患部をさらに悪化させた影響からか、翌場所は入門以来、初の負け越しを喫した。