両手がザバッとすくった塩を思い切り高く高く撒く、今場所これまで7勝と好調の十両・照強は、取組前の塩撒きでも相撲ファンを沸かせている。
土俵に塩を撒くのは、土俵の邪気を払い、清めるため。また精製されてない粗塩を使うため、緊張で手に汗をかいたりしたとき、それを拭う役目も果たすんだとか。
かつて塩撒きで有名になった力士というと、水戸泉(現・錦戸親方)。1回に600グラムも撒くという華麗で大胆な塩撒きは、イギリス巡業(1991年)の折に「ソルト・シェイカー」と紹介され、その名前が日本でも定着した。
今やその肩書を襲名しそうな照強だが、1回目の塩は自分の身体に振りかけて穢れを払い、土俵には少しだけ。2回目の塩を大きく撒く。その理由を「自分は身体が小さい分、塩を高くたくさん撒くんです」と語る。なるほど! 身長169センチと小兵の照強。高く撒く塩は彼の闘志の表れだろう。11日目、強いあたりを持つ貴源治に気迫の相撲で勝った一番など、まさにその塩撒きで高めた闘志の結果だったのかも。新時代のソルト・シェイカー照強、高く飛翔してほしい。
逆に塩を少しだけ撒くので知られるのが、現在は休場中の宇良。今の番付は幕下。土俵に戻ってきたら、またすぐに塩を撒く番付に上がって(幕下以下は基本的に塩を撒かない)、ちょろっと塩を撒く姿を見せてほしい。
また塩を身体に振る力士は多いが、自分のお腹、まわしの上にちょこんと塩を乗せるので知られるのが荒鷲。イケメンで優しい雰囲気の彼のまわしにちょこんと乗った塩に、胸キュンするスー女も多い。
ちなみに塩は本場所1日で45キロも使うとか。一般家庭の平均的な塩消費量は年間3.5キロというから、13年分を1日で使う計算。何もかもスケールが違うわぁ~と驚く。
ところで、塩撒きだけでなく、土俵に上がってから立ち合いまでの間、四股を踏み、柏手を打って両手を広げる塵手水といった一連の所作の後、力士たちは様々なルーティンを見せる。有名なところでは琴奨菊の「琴バウワー」。最近は見られなくなったけど、流行語にまでなった。
他にも琴勇揮の「ホッ」(気合の声)、千代丸のダンス(正面を向いて足を右に左に擦る)と力士たちはこれまで様々なルーティンを見せてきたけれど、時間いっぱいでタオルを取りに行くときに土俵際まで小走りする勢、猛ダッシュする栃ノ心と、それぞれのキャラクターも垣間見え、力士の土俵上のあれこれ、見逃せないんですよね。【和田静香】
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