切れ味抜群の鮮やかな右からの下手投げで序二段優勝を決めた豊昇龍は、花道を引き揚げるときから満面の笑みだった。
「口から(言葉が)出ない(くらいに)すごいうれしい」と3日前に19歳になったばかりのモンゴル出身のホープは、独特な表現で喜びを爆発させた。高校は日本の日体大柏高に留学し、在学中にレスリングから相撲に転向。以来、優勝には縁がなく「ずっと2位とか3位だった」と今回が相撲人生初の「優勝」だった。
先場所は叔父の元横綱朝青龍が果たせなかった序ノ口優勝を目標に掲げていたが、納谷に敗れて優勝をさらわれた。
「納谷に勝てば序ノ口優勝できると思っていた。悔しい」という熱い思いを次の直接対決にぶつけるつもりでいたが、ライバルはその前に黒星を喫して今場所は実現せず。「今場所は当たらなくて残念。納谷に勝ちたかった。納谷も三段目に上がるから、三段目でやりたい」。
豊昇龍は前相撲を含めれば、喫した黒星はまだ2つ。その相手はいずれも納谷であり、高校時代の初対戦、前相撲、先場所の序ノ口と過去3回の対納谷戦は3戦全敗。“リベンジ”は名古屋場所の三段目の土俵に持ち越された。
納谷も豊昇龍も初土俵を踏んだ今年初場所よりも明らかに体つきが逞しくなり、力士らしい風貌も身につけつつある。番付が上がるにしたがって大きくなっていく、2人が雌雄を決する“舞台”。いずれは協会の“看板カード”になることは間違いない。
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