「VICTORY is within US.」。勝利は我らの中にある。昨年はリーグ3位から日本シリーズに進出しソフトバンクを追い詰め、20年ぶりの優勝に向かい自信に満ちたスローガンを掲げた横浜DeNA。しかし、残り35試合となり現在5位。1位の広島まで16.5ゲーム差、2位ヤクルトまで5.5ゲーム差を追いかける展開となっている。「優勝」を意識していた指揮官も広島のマジックが点灯したころから「当面の目標は2位」と切り替え、上位チームに食らいついている。
5位の位置ではあるが、2位以下は混戦のためベイファンは上を向く。「去年は日本シリーズでもシビれる試合をしてくれた。もちろんリーグ優勝できないと悔しいけど、CSにさえ出られれば短期決戦でミラクルを起こせるチーム。点は取れているし、巨人戦で井納（翔一）が復活勝利を挙げたが、先発が立ち直ればまだいける。何としても2位で初のCSハマスタ観戦をしたい」と、年間シートを10年以上購入している男性。春先は、20年ぶりの日本一を口にするファンがほとんどだったが、この時期になりファンも目標をCSのハマスタ観戦にシフトしているようだ。
日本シリーズはNPB主催だが、CSはホームチームの主催となるので年間シート購入者は優先的に試合観戦ができるという事情もある。「ここ数年は人気でチケット入手が難しいので、CSをマイシートで観られる特典も含めて年間シートを購入している。でもまだその恩恵を受けていないんです」と苦笑い。12球団で唯一CSをホームで開催できていないのが横浜DeNAだ。ハマスタの観客動員数が過去最高となるだけでなく、「I☆（ラブ）YOKOHAMA」を合言葉に地域密着化を図り、横浜DeNAが勝った日やファンに特典がある「CLUB BAYSTARS」加入店も300以上に増え、街ぐるみで盛り上がりを見せている。なんとしても2位に食い込み地元横浜でCSを開催したいところだ。
「リーグ優勝を諦めたとは言いたくないけど、CSになれば広島なら勝てるチャンスが充分にあると思うのでハマスタのCSで弾みをつけ、広島と戦えれば」と別の男性ファン。昨年のCSで勝ち抜いた経験や、昨年と今年、広島戦で2度も3者連続ホームランをやってのけた自信から、独走している広島相手でも「何か起こせる雰囲気がある」と語る。
「悔しいけど2位狙い」というファンが増えつつあるなか、「今年はハマスタの勝率が悪いので3位からの下克上の方がいける気がする」という声も。それを逆手に取り、「ハマスタの阪神戦がもう少ないので勝ち試合が増える」と前向きに捉えているファンもいる。相性の悪い阪神戦はハマスタで2勝9敗と大きく負け越しているが、甲子園では3勝3敗の五分だ。去年のCSでの“泥試合”を乗り切った甲子園で残り6試合が待っている。
「去年の終盤やCSで、追い詰められてからあれだけの試合ができたんだから、その時を思い出し、残り試合1試合も落とせない気持ちで、全力で勝ちにこだわってほしい！」満員のハマスタファンは念願のCS開催を夢見ている。【山口愛愛】
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