今横浜DeNA先発投手陣に求めるべきは、投手には不可欠な大胆さと繊細さのバランスだ。横浜で活躍した野球解説者の野村弘樹氏（49）が、試合序盤の失点が多く、なかなか本調子が出ない先発陣について「大胆さと繊細さのバランスが崩れている。少しトンネルに入っちゃっている感じ」と指摘した。打たれまいと力みコントロールが乱れる、丁寧に投げようとすると今度は腕が振れずに球威が落ちる。この悪循環を断ち切るためにも精神面の安定と、プラス思考が必要だという。残り31試合で逆転Aクラス入りを目指すために、先発投手陣の奮起は必要不可欠だ。
開幕前は石田、今永、浜口、東と、先発左腕が4人もいることから「左腕カルテット結成」とファンの期待を集めていたが、故障による出遅れや不振が重なり、開幕からローテーションを守っているのはルーキー東だけ。1試合好投して「いよいよか」と期待が高まるも、次の試合では崩れるというパターンが繰り返されている。この状況に野村氏は「調子が上がってほしい選手が、まだ上がってきていない。石田、今永、浜口はファンの方も一番期待していたところでしょう」と、3人で計7勝（昨年は27勝）という数字にも、物足りなさを感じていた。
一番の課題は、投手の生命線である「コントロールですね」と説明した。「悪くなった原因として、強い真っ直ぐを投げようとして力むからコントロールが悪くなる。今度はコントロールを気にしすぎて、その分球威がなくなって、それでも甘くなって打たれているのかもしれない。選手が試行錯誤しているところですね」と、投球に見える迷いを感じている。「今年はみんな立ち上がりでやられている。連鎖反応じゃないですけど、意識過剰になっているのかもしれないですね」と、1人1人ではなく先発スタッフ全体の課題だとも話した。
投手は、1人孤独にマウンドに立ち、想像されるいろいろなマイナス要素を振り払わなければ、打者とは勝負できないという。「ピッチャーって、点をやっちゃいけない、打たれちゃいけない、甘いところに投げちゃいけない。そういうマイナス要素ばっかりを持っているんですよ。それを取っ払って、あそこに投げれば大丈夫、この形でいけば大丈夫と、ポジティブにいけるかどうか」。大胆に行かなければ、打者に立ち向かえない。ただ、気持ちが行き過ぎれば、自ら墓穴を掘ることにもなる。「どんどん投げることが必要だったり、繊細にいく部分が必要だったりするので」と、ただ全力で投げればいいものでもない難しさに、若い投手陣が直面しているという。
シーズンも残り1カ月強。若い選手が多いだけに、ちょっとした気付きやきっかけで、急に勢いが出ることもある。実際、横浜DeNAはそんなチームだ。大胆に右打者の内角へ、思いっきりストレートを投げ込み、打ち気の打者には巧みに変化球を使ってかわす。そんな心のコントロールができるようになれば、自然とボールも思ったところに行くようになるはずだ。
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