「打てる女子ってよくないですか?」。全国でも有数のおしゃれ麻雀店で、シャンパンを飲みながら優雅で華麗に麻雀を楽しむイベントに、都内勤務のOL・瀬尾友美さんは参加した。周囲には、趣味として麻雀をたしなむ男友達はいたが「ちょっと難しそうだったので」手を出してこなかったが、同僚が参加したイベントの様子を聞きつけ、参加すると1回目にして「めちゃめちゃおもしろいですね!」と、そのゲーム性の虜になった。「中年男性」「ギャンブル」「たばこ」といったイメージが根強かった麻雀も、楽しむ場所や相手といった環境が変われば、今どきの女性が楽しむものとして、十分に通用するようだ。
瀬尾さんが参加したのは、都内有数のセレブ地区・西麻布の麻雀店「RTD」で開かれた「MAHCHAM(マーシャン)」というイベント。隠れ家的なラウンジをイメージさせる店内に、参加者はすべて女性。麻雀の卓と牌がなければ、そのままおしゃれ女子会と言われても何ら違和感がない。ただ瀬尾さんはそこでプロ雀士から初心者講座を受け、初心者同士で卓を囲むと、ちょっとずつ分かり始めたルールと模擬対局の結果に大喜びだ。「牌を触るのも初めてだったんですけどね。最初は用語とかも難しかったのですが、やってみたら分かりました」。もともとゲーム好きで負けず嫌いという性格もあってか、麻雀牌にもさほど抵抗感はなかった。
初心者同士で卓を囲むと、何から何まで新鮮だ。女性4人で同じゲームをするというのも、女性が望む非日常空間でもある。「すごく楽しかったし、一緒に仲良くなる感じがありますよね。一体感というか。仲間意識みたいな感じ」と、1対1でも大人数でもない、4人という絶妙な人数も気に入った様子だ。「もっとやりたいですね。アプリで鍛えようかな」と、次回の開催まで“自主練”して腕を磨くつもりだ。
瀬尾さんがこのイベントに興味を持ったポイントの1つが、ビジネスシーンの会話に麻雀が登場することがあるからだ。麻雀対局番組の放送も増え、10月には俳優・萩原聖人がプロ雀士宣言をして話題となった新規のプロリーグ「Mリーグ」もスタートする。男性相手に仕事する機会も多い瀬尾さんにとっては、その会話に参加する、さらには一緒に盛り上がるとったビジネスツールとしても、身につけておきたい娯楽の一種にカウントされている。「(麻雀)打てる女子って、いいじゃないですか。ビジネスにも役に立ちそうだし。話に入れそうというか」。取引先と酒席に付き合うのは誰にでもできそうなものだが、いざ麻雀となると超初心者ではお相手が務まらない。「私、打てます」と手を挙げられるかどうかが、彼女にとっては重要なわけだ。
ゴルフ、釣り、登山など、いわば「おじさん趣味」と言われてきたものに、次々と女性が参加し、盛り上げていった歴史がある。近年では、天才棋士・藤井聡太七段の登場によって、将棋好きが増えた。近い将来、おしゃれ女子たちの間で「今日、ちょっと打っていかない?」「いいね、どこ行く?」といった会話が、あちこちで聞かれるようになるかもしれない。
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