テニスの四大大会・全米オープンで、日本人初の女子シングルス優勝に輝いた大坂なおみ選手がけさ4時過ぎ、羽田空港に到着した。長時間のフライトにやや疲れた表情だったが、ファンの出迎えに時折笑顔を見せていた。
「皆さま来てくださってありがとうございます。応援もありがたく思っています」
「北海道での出来事(地震)についても聞きました。何らかの形で皆さんの応援になればと思っていました。おじいちゃんにも勝った後に連絡してとても喜んでくれました」
「(抹茶アイスは)食べなかった(笑)。東レが、まだ試合が控えているのでダイエットしないといけない」
「(日本でやってみたいことは)原宿に行くか、東京ドームのジェットコースターに乗ってみたい」
「(日本語で)こんにちは。おすしはすごく…おいしい。いつもありがとうございます」
9時半から行われた会見で、このように話していた大坂選手。『けやきヒルズ』(AbemaTV)では、記者から出た「あなたの存在が古い日本人像を変えたと思いますか?」という質問に注目した。この質問に大坂選手は、通訳と「それって質問かな?」とやりとりしたうえで、「私は自分のアイデンティティをあまり深く考えたことはないです。私は私であると考えています。私が育てられてきた環境の通りになっていると思う。まあ、私のテニスは日本のスタイルらしくはないと思っています」と答えている。
大坂選手はなぜこの質問に疑問を持ったのか、そしてなぜこのような質問が出たのか。慶応大学特任准教授の若新雄純氏は「日本のダイバーシティーに大きな壁が見える」と話す。
「ダイバーシティーはアメリカで生まれた考えで、本当の意味はマジョリティーとマイノリティーがいるのではなく、お互い違う者同士、対立することもあるかもしれないけど理解し合って存在を認めて生きていこうというもの。だから大坂選手は質問の意図がわからなかったのだと思う。ダイバーシティーは“マイノリティーを受け入れる”ということではないのに日本ではそのように考える人が多い」
また、日本では“マジョリティー(多数派)”と“マイノリティー(少数派)”の構図ができやすいことをあげ、「この質問も“普通の日本人ってこうだよね”というイメージに対して、大坂選手を日本人として受け入れられるかどうかを線引きしてしまっている」と指摘。ダイバーシティーの重要な観点として、「大坂選手が日本人であるかということよりも、“日本人がこうあるべき”という考えをもっと柔軟にしていけるかどうかが大事。アイデンティティという言葉は、日本語で『自己同一性』と訳される。同一性というのは、自分が思っている自分と周りが思っている自分が同一視されること。つまり日本人のアイデンティティは、周りの“○○らしい”と自分が合っているかがテーマ。でも彼女は『私は私』と自信を持っている。ネットで『日本人なのに日本語が喋れない…』という反応があるけど、それは違いを埋めていきたいという日本独自の発想、自分たちと違う人をマジョリティーに戻してきたという背景がある。大坂選手の存在によって、日本人のダイバーシティーに対する感覚が問われている」と述べた。
なお大坂選手は今後、東京・立川市で17日から本戦が始まる「東レパンパシフィックオープン」に出場する予定だ。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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