9月21日に行われた横浜DeNA対中日24回戦で、今季限りでの現役引退を表明している加賀繁投手(33)が初回に登板。献身的なピッチングでチームの低迷期を支え、「ハマのゴエモン」の愛称で親しまれた右腕が、1590日ぶりの先発マウンドに立った。最後のマウンドに上がった加賀に、スタンドからは惜しみない拍手と歓声が贈られた。

初回、先頭打者の平田に対して「1人限定」での登板となった加賀。引退登板といえども、史上稀に見る混戦となったCS争いの真っ只中とあって、お互いに気の抜けた様子は全く見られなかった。加賀はハマスタのマウンドの感触を確かめるようにじっくりと構えに入ると、初球は外角にスライダーを投じてボール。2球目は真ん中低めの138キロのストレートでストライク。1-1から再度外角のスライダーでボール。4球目はややシュート気味のストレートでストライク。一度もバットを振らせることなく平田を追い込むと、5球目に投じた内角のスライダーで見事に空振り三振に仕留めてみせた。

登板後にはチームメイトたちがマウンドに集まり、目を赤くしながら全選手と握手を交わした。横断幕が飾られたスタンドからは、雨の中であることを感じさせない大ボリュームでの“シゲルコール”が湧き起こった。加賀は京山にマウンドを託し、万感の思いを噛み締めながら、ベンチへと引き上げていった。
加賀の最後の勇姿に、AbemaTVを視聴していたファンからも感動的なコメントが殺到。「お疲れ様でした!」「目から汗が……」「まだできるやろ……」「もっと見たいよ」「寂しい」「泣けるね」「ありがとう、加賀」といった惜別の声が無数に寄せられ、引退試合に花を添えていた。

ラミレス監督の「外国人に対してタフなピッチャー」という評価の通り“バレンティンキラー”としても知られていた加賀。チーム事情で先発から中継ぎに転向し、得意のスライダーで右打者から三振の山を築いた。中継内で紹介された試合前までの球種別被打率はストレートの.299に対して、スライダーが.211。また通算の左右の被打率では左打者の.304に対して右打者は.257と、対右打者のスペシャリストとして活躍した。
実働9年で通算278登板、防御率4.03、12勝22敗(いずれも試合前)という成績を残した加賀。試合後には引退セレモニーも予定されている。
加賀の登板後のコメント「マウンドでは緊張もあり、この横浜スタジアムのマウンドで投げるのが最後という寂しい思いもあり、何を投げたか、どのようなフォームで投げたのか、正直あまり覚えていません。とにかく、9年間の思いを1球1球に込めて投げました。今日から12連戦となる最初のマウンドで、いい形でチームに繋ぎたかったです。対戦した平田選手は、打率も高く長打もあり、素晴らしい打者です。特別な雰囲気の中で対戦してくれた平田選手に、感謝の気持ちを伝えたいです」
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