9月22日インドネシア・ジャカルタで開催されるアジア最強総合格闘技「ONE Championship Conquest of Heroes」に、内藤のび太、松嶋こよみ、若松佑弥という日本の総合格闘技の気鋭のトップランナー3人が参戦する。
長年のアジア圏の総合格闘技をリードしてきた日本だが、世界的なMMAブームと人材育成の結果、アジア圏の豊富なタレントに翻弄される場面も増えている。中でも「ONE Championship」には、日本を代表する選手たちが次々と送り込まれているにも関わらず、黒星先行と分の悪さからも「日本最弱」というやや自虐的な言葉まで踊るようになった。
そんな中で、「ONE Championship」で活躍する日本人でも圧倒的な強さを発揮しているのが、ONEストロー級王者・内藤のび太こと内藤禎貴だ。2016年に修斗世界フライ級王座を返上し、いち早くこのアジア発のメジャーリーグに参戦し、即ストロー級王者に。2017年末にブラジルのアレックス・シウバに敗戦し王座から陥落したが、今年5月のリベンジマッチでは泥臭く相手の持ち味を殺す内藤らしいスタイルを取り戻し見事勝利、再びタイトルを手にした。
今回迎え撃つフィリピンのジョシュア・パシオは、22歳の新鋭。20歳の時に内藤に完全に力負けし敗北という挫折を味わったが、2年の時を経て、内藤の得意な寝技への対抗策と打撃面での強化により戴冠を目指す。
そしてこの大会は、UFC参戦を目標にきた日本の若き才能たちが、その先駆けとして「ONE Championship」をターゲットするというターニングポイントとなる大会でもある。ともに「日本MMAの申し子」と呼んでいいだろう松嶋こよみと若松佑弥がONEに初参戦する。
今年4月のパンクラス・フェザー級暫定王座決定戦でISAOへの不意のヒザ蹴りにより反則負けという後味の悪い試合以来、世界のリングで心機一転勝利を目指す松嶋。対戦相手は前ONE世界フェザー級王者マラット・ガフロフ、青木真也とのグラブリングマッチに敗れたもののONEでは7勝1敗の強豪だ。
一方の若松の対戦相手は、22歳と同年代のダニー・キンガド。ムエタイやMMAの世界で存在感を示すフィリピン勢と、日本のMMA代表とのまさに代理戦争勃発といえる対戦カードだ。
松嶋・若松共に若くして日本のパンクラスで実績を収めた現役日本代表選抜といえる選手たち。これまで頂点となる「UFC」が合言葉になってきたが、世界中の才能が分散する群雄割拠の時代の中で、「ONE Championship」は、紛れもなくアジア圏で最も手応えのある力試しの場といえるだろう。
ここ最近の戦績をみても、9月8日の上海大会で小笠原裕典がハキム・ハメッシュに敗戦、7月のマニラ大会では青木真也がシャノン・ウィラチャイに一矢報いる鮮烈な右膝で勝利するも、近藤有己とヘンゾ・グレイシーのレジェンド対決に近藤が敗戦、クアラルンプール大会でも、元パンクラス・ライト級王者・徳留一樹と元ONEフェザー級王者・ジャダンバ・ナラントンガラグに判定負け、韓国ROAD FCで活躍している下石康太がアリエル・セクストンに1本勝ちと五分五分、トータルで行くと負け越しというのが「ONE Championship」における今の日本の総合格闘技の実情だ。
2019年3月に「ONE」は日本大会を開催するが、松嶋と若松という切り札で挑む今回のジャカルタ大会は前哨戦としても極めて重要な大会になりそうだ。