
9月22日の横浜DeNA対中日25回戦の終了後に、この日の試合で現役最後の打席に立った“ゴメス”こと後藤武敏内野手(38)の引退セレモニーが行われた。ファン、チームメイト、家族、そして恩師と“松坂世代”の同級生たちに見守られて、16年間のプロ生活に別れを告げた。
セレモニーにあたって用意されたVTRでは、“ゴメス”という愛称の由来をあらためて説明。さらに甲子園で春夏連覇を果たした横浜高校時代やプロ入り後の印象的な場面が次々とモニターに放映され、高校のチームメイトである中日の松坂大輔投手(38)も朗らかな笑顔を見せていた。
涙もろいことでも知られ、この日の試合でも打席に立つ前から大粒の涙を流していた後藤。セレモニーでも感極まった表情のまま、ファンと関係者に向けて引退の挨拶を行った。全文は以下の通り。

(後藤)
「まずはじめに、CSのかかった大事な時期に、このような引退試合を催していただき、球団、球団関係者、監督、コーチ、選手、そして中日ドラゴンズの監督、コーチ、選手の皆さん、ドラゴンズファンの皆さん、本当にありがとうございます。
16年前、西武ライオンズに入団してから16年。西武ライオンズでは9年、嬉しいことも楽しいこともいっぱい経験させていただきました。本当に感謝しています。
そして7年前にトレードで第二の故郷、横浜に帰ってきました。それから今日まで“来年の今日はない”という気持ちで、必死でバットを振り続けていました。怪我もたくさんしましたが、トレーナーさんや裏方さんが親身になって支えてくれ、『また次の試合に』と本当によく面倒を見てもらいました。本当にありがとうございました。
これからまだまだ、CS出場に向けて選手はもっともっと頑張ってくれると思います。皆さん、大きな声援よろしくお願いします。
横浜スタジアムの、代打で出たときのあの大声援、ゴメスコール。本当に嬉しかったです。本当に感謝しています。ありがとうございました!
ベイスターズはすごく明るく、みんなが元気と活気のある素晴らしいチームです。そんなチームは、強いです!
最後になりますが、16年間……(涙をこらえる)。(大歓声)支えてくれた嫁さんと子供、そして家族と両親に最大の感謝の気持ちを込めてお礼を言いたいと思います。本当に今までありがとうございました。
最後に、僕を今まで支えてくれたファンの方々。大声援を送ってくれたファンの方々。松坂世代の一員としていられたことに感謝し、今日、引退します。本当に今までありがとうございました!」
後藤のこの挨拶に、スタンドで見守っていた横浜高校の恩師・渡辺元智終身名誉監督も涙。VTR内で語った「松坂松坂、と言われていますけど、後藤や小池がいたからこそあのチームがあった。その選手たちが活躍して松坂世代と呼ばれているのは、私にとっても望外の喜びです」というコメントも含めて、あらためて教え子への愛情の深さを感じさせた。
その後、松坂から花束が贈呈されることがアナウンスされ、大歓声に包まれるハマスタ。横浜DeNAを代表して花束を贈った同級生の小池正晃コーチ(38)と共に、横浜高校の3人が揃い踏みとなった場面で、ついに松坂も号泣。球場にはこの日一番大きな“ゴメスコール”が響き渡った。
最後は横浜DeNAのチームメイトたちが後藤を胴上げ。松坂も中日のユニフォームのままここに参加し、戦友たちに「重いよ!」と軽口を叩かれながら、後藤は笑顔で8回宙を舞った。
2002年のドラフト会議で自由獲得枠にて西武に入団した後藤は、パンチ力のある代打の切り札として活躍。2011年に武山真吾との交換トレードで横浜DeNAに移籍。勝負強い打撃と明るいキャラクターでチームを盛り上げ、状況によっては4番に座ることもあった。試合前の時点での通算成績は、617試合に出場して打率.255、312安打、52本塁打、184打点。
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