10月1日に開幕する麻雀プロリーグ「Mリーグ」。その初代選手を選ぶドラフト会議が8月7日に行われた。7チームが3人ずつ、計21人を選択したが、その中で唯一指名が競合したのが、鈴木たろう(協会)だ。3巡目ながら3チームの競合となり抽選の結果、赤坂ドリブンズが交渉権を獲得した。「めちゃめちゃうれしかったです」と振り返る鈴木の実力は、この唯一の競合が示していた。
熱心な麻雀ファンからは、その圧倒的な強さから全知全能の神「ゼウス」と呼ばれる。実際、トッププロが集う大会、タイトル戦であっても、一度波に乗ったら手をつけられない強さを発揮する。また、セオリーとは間逆の牌選択をし、それが功を奏することも多く、その神がかった様子に「ゼウスの選択」とも言われる。「僕の根本には、常識を疑い続けるというのがあるんですよね」と、まさに一般人とは別の視点を持っている。
そんな実力者が、7チームの2巡目まで指名されなかった。「協会で誰も指名をされていなかったので、そこまでは意気消沈というか、悔しいというかそんな気持ちでいましたよ。指名された後は、同じ協会の後輩の松本に叩かれましたよ。松本が指名された時はバチーンと叩き返しましたけどね」と大きく笑った。今回Mリーグのドラフト条件になった麻雀プロ5団体(日本プロ麻雀連盟、最高位戦日本プロ麻雀協会、日本プロ麻雀協会、RMU、麻将連合)を見渡しても、実力は間違いなくトップクラス。7チームあれば、どこかが1位指名するだろうという予想もあった中、チーム同士が牽制し合った結果の3位競合。他の20人がすべて単独指名だったことも、「実はみんな鈴木たろうを欲しかった」ことを示す結果となった。
豪快さを感じされる麻雀同様に性格も自由奔放。ただ、あまり目立つことは好きではない。「単純に僕は麻雀バカというか、麻雀だけ認められたいタイプなんで」と苦笑いした。本人はそう語るが、その打牌だけ見ても十分に目立つ存在と言える。「他の選手のチェックですか?これがしてないんですよ。普段やっているルールと変わるので、まさか同じ戦い方はしてこないだろうと思っていますから。同じ打ち方をしてきたら、それはルールに対応していないってことなので、ありがたいんですけどね」と不敵にほほ笑んだ。
チームメイトは最高位戦の最高峰タイトルを持つ村上淳と、実力者の園田賢。それぞれしっかりとした力を持った2人だが、その2人より後に指名された絶対的な守護神・鈴木がいれば、初代王者への道は明るく照らされる。
◆鈴木たろう(すずき・たろう)1973年10月4日、茨城県生まれ。B型。日本プロ麻雀協会所属。主な獲得タイトルは第15期最強位、第9、11、12、13期雀王、第8回野口恭一郎賞他多数。著書は「迷わず強くなる麻雀」。異名は「ゼウスの選択」。
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