偶然なのか、運命なのか。ネット麻雀ゲーム「天鳳」でも活躍してきた小林剛(麻将連合)、朝倉康心(最高位戦)、石橋伸洋(最高位戦)の天鳳名人位プロ3人衆が、新たに生まれるMリーグで、同じチームで戦うことになった。
株式会社U-NEXTが率いる「U-NEXT Pirates(ユーネクストパイレーツ)」から堂々1位指名された小林は「正直指名される可能性はちょっと高いかなとは思っていました」としながらも「でもどこから何位で、まではわからなかった」と不安と期待の感情を抱いてドラフト会場にいた。
指名に自信を持てるだけの根拠もあった。「ここ数年の実績もありますが、何よりもラッキなーことに今年のRTDで、たまたまタイミングよく過去の予選ポイントの記録を更新して一番目立てたことが大きかった。そこは評価して頂けるのではないか」と確信に近いものはあった。
チームに対する前評判も上々だ。「ネット麻雀をよくやる人は、ASAPIN(朝倉康心)を知っているので、僕とASAPINと石橋という天鳳名人位を取った3人がいるチームがネット上の前評判が良くなるのは順当なんですが、ネット麻雀をやっている人が知らない強いプロもMリーグには揃っています。でも実際、僕らは優勝する力のあるチームだとは思っています」と自信をのぞかせる。
昨今は天鳳をプレーする麻雀プロも増えたが「僕らは天鳳勢と競技麻雀を繋げた3人だと思っています」と小林は胸を張る。「天鳳名人戦が始まった時は、麻雀プロから見れば、天鳳ってなんだよと思っていただろうし、天鳳勢から見れば、天鳳位こそが最強。リアルでやっている奴は雑だといったイメージがあったとは思うんです。でも結果、私と石橋と朝倉が優勝したことにより、お互いを認め合うようになった。その架け橋にはなれたと思いますし、その後、天鳳勢から麻雀プロになった方もいらっしゃいます。麻雀プロやアマチュアの方からも天鳳すごそうだからやってみようかという動きが出てきたりもしたので、我々3人はネットとリアルをつなげる役割は果たせたのかな」と受け止めている。
団体戦だからといって特に意識することもない。「1人で80戦打っても、3人で80戦打っても、得な打牌は変わりません。むしろチームのためにと考えて、変なことをしないほうがいい。自分が戦うのは25~30戦ですが、80戦の1回と思って打つだけなので、俺が目立つんだと思ってやらないほうがいいし、うちのチーム員はそういったことはしない」と打ち手としても2人に信頼を寄せる。
Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)初代チェアマンとして辣腕を振るった川淵三郎氏がMリーグの最高顧問に就任したことも大きなニュースとなっている。「麻雀がメジャーになっていく大チャンスだと思うので、こんなゲームがあるんだよということを知ってもらいたいですね。すべての打牌は、損得を極限まで追求した結果、やっていることなので、こんな1000点ばっかりじゃつまんねえとか、リーチにオリてばかりじゃつまんねえといった価値観は、ちょっと一旦置いておいて、こういう麻雀があるんだよってところを見て頂きたいですね」とはにかんだ。
U-NEXT Piratesの船出は10月1日。麻雀のプロスポーツ化という未開の大海原へに向かって、麻雀の新しい時代へ突き進むべく、激闘の待つ荒海へ乗り出す。【福山純生(雀聖アワー)】
◆小林剛(こばやし・ごう)1976年2月12日、東京都生まれ。AB型。麻将連合所属。主な獲得タイトルは第3回野口恭一郎賞、第3、7、9期将王、第1、2期天鳳名人位他。著書は「スーパーデジタル麻雀」「麻雀技術の教科書」(井出洋介プロと共著)。異名は「スーパーデジタル」。
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